逆風続きのガイトナー財務長官

Tim Geithner : Baptism of fire (The Economist)
就任前は、財務長官候補として名前が浮上しただけで株価が上昇したのだが、就任後は逆風続きである。しかしようやくAIGに対する大衆の怒りも収まり、不良資産処理プログラムも発表され、株価も持ち直して一息ついた感じだろうか。閣僚であり議会からの厳しいつっこみが入る財務長官というポストは前職のニューヨーク連銀総裁とは大きく異なる。連銀では独立性を有しているがゆえに舞台裏で自由に行動できたが閣僚ではそういう訳にはいかない。議会に受け入れやすくするために経済的合理性をある程度犠牲にしなければならないというジレンマもある。同氏の説明能力も議会では不評の元だ。専門用語が多く登場し経済学者は理解できても議員にはちんぷんかんぷんな内容だったりする。ある時は大統領が自ら財務省の計画を説明したが、長官の説明よりも分かりやすかったというおちまでついていた。今後、もし金融システムが安定し、景気回復が実現すると同氏の評価も高まるだろうが、それでもふくれあがった財政赤字をどうするのかという困難な問題がつきまとう。