年金基金を国有化したアルゼンチン
Argentina : Cristina's looking-glass world (The Economist)
フェルナンデス夫妻が交互に大統領を務めるアルゼンチンでの経済政策はThe Economistでもさんざん批判されている。その中には物価連動国債の利払い負担を減らすためにCPIを操作しているというものまである。今回は政府債務を肩代わりさせるために民営化された年金基金を再度国営化するという政策を打ち出した。そもそも最初に民営化された目的がそんなことを防止するためでもあったのだが。これにより当面はアルゼンチンの政府債務の繰り延べは可能になるが、年金保険料を拠出する労働者の将来はますます暗くなったことになる。最近、アルゼンチンではデフォルト以来事実上閉ざされていた国際金融市場で国債を発行すべく、債務リストラ案を拒否し続ける債務者に対して懐柔策を少しずつ打ち出しているが、年金基金の国営化は再び同国の経済運営に懸念をもたらすことになり、国債発行は難しくなる。株式市場での大きな買い手であったために、年金基金が国営化されて政府債務の肩代わりをさせられることになると、民間企業への資金提供も難しくなる。もちろん株式市場は暴落している。