NHKスペシャル「激流中国・民が官を訴える・土地をめぐる攻防」

だいぶ前に録画したもの。社会主義国家である中国では土地の私有は認められていおらず、その代わりに土地使用権が所有することになる。土地使用権は一度交付されるとそれなりの保護があるのだが、再開発が進む現在の中国では保護の制度を無視して違法な土地収用が行われているという。官の横暴に民衆も訴訟という手段で対抗しはじめるようになったというのがこの番組の内容。
地方政府にとっては、土地の再開発は非常に魅力的な事業となる。住民から取り上げる土地使用権は開発業者に高値で売却できるし、その代金は地方政府の収入となるためだ。また再開発後は税収の増加も期待できるというメリットもある。そんなにうまみがあると多少の違反をしてでも、土地の強制収用を進めようとするのは驚きでもない。ただ違法な収用は全国で増加しており、中央政府も懸念を見せている。そこで施行されたのが物権法という法律である。土地使用権を明確に財産として規定し保護することを謳っている。
日本でもそうだと思うが、行政を訴えて勝利するのは非常に難しい。裁判費用の捻出だけでも大きな問題だ。特に強制収容で生活の基盤を失った人も多いだけになおさらである。紹介されていた裁判では一審は住民の敗訴、控訴審では一審の判決の破棄と差し戻しとなったが、その後はどうなっただろうか。仮処分という規則が無いのかもしれないが、裁判中でも強制収容を進めてくるというのが恐ろしい。