民衆が語る中国・激動の時代・文化大革命を乗り越えて

2〜4を一気に見る。まとめて見ると中国の現代史がよく分かる。文化大革命とはなんか中国全体が悪夢を見ていたような状態ではなかったのかと感じる。反革命分子を取り除くために紅衛兵などが摘発に動いたものの、派閥が生まれ、派閥がお互いに相手を反革命分子だと糾弾するようになる。なんかおきまりのパターンといった感じだ。武器まで持ちだし多数の死者が出るような事態になり、内戦状態に陥ってしまう。ここまでくると毛沢東も放置することはできず人民解放軍に介入させ、なんとか派閥抗争を収束させることに成功する。
収束させた後は、毛沢東は学生に対して農民から革命思想を学べと農村に半強制的に行かせることになる。下放である。しかし多くの学生がやってきた農村はいい迷惑だったようだ。使えない学生がやってきても収穫量が増えるわけでもないし、その一方で食糧は必要になるし、事実上農民を搾取していたようなものだった。都市での失業問題を解消するという目的も下放には含まれていたようだ。中国での戸籍は都市部と農村部では厳密に分けられており、下放により農村に行くと、戸籍まで変えられてしまう。そうなるとかんたんに故郷には戻ることもできない。この問題は未だに中国では解決されていないようだ。

農村で労働を通じて、学生を改造しようとしたものの、結局ものをいうのは家柄や出身であり、自らの手ではどうしようもないものである。人間を改造しようとする試みは全体主義に欠かせない行為だと思うが、うまくいかない。ピンカーの「人間の本性を考える」によると人間には本性があり、決して白紙の状態で生まれてくる訳ではないからということになる。