ヘッジファンドはリスクの分散につながるか?

Buttonwood:Prime movers(The Economist)が興味深い。リスクをヘッジファンドが積極的に取ることで、金融システム全体でリスクが分散化されるという見方があるが、必ずしもそうとは言えない。ヘッジファンドに金を提供して、投機を煽っているのはプライム・ブローカーと呼ばれる証券会社や投資銀行である。心配なことに、プライム・ブローカーは4社程度の寡占状態にある。ヘッジファンドで運用が失敗し、貸した金が焦げ付くとこの4社に大きな打撃を与えることになる。リスクを分散しているつもりが、資金の出所が集中化していると、リスクを分散どころか偏らせているだけのように見える。

サブプライムモーゲージ市場の変調に始まる、信用市場の動揺に関してはHow Credit Got So Easy And Why It's Tightening(WSJ)も非常に面白かった。デフレへの心配(日本の苦境を目の当たりにしていただけに納得はできるが)が、FRBの超金融緩和政策につながり、サブプライムモーゲージなど、リスクが高い証券への資金流入を引き起こしたとの指摘。

ただ、The EconomistEconomics focus:The mandarins of moneyを見ると、先進国の中央銀行がグローバルな金融システムを制御するのが困難になりつつあることも分かる。日銀の独立性への評価も非常に低い。政治からの独立性が低い国ほど低金利にしてインフレへのリスクを犠牲にしてまで経済成長を追求しがちと指摘している。