プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー

読了。文章は平易で読みやすいが内容は専門的。あまり良く理解していないと思うが、プリオン仮説はあまり説得力がないように思える。プリオン仮説を主張する陣営からの反論も読んでみたいが。しかし著者は、自らの主張を前面に押し出すのではなく、ページを半分以上使ってプリオン仮説を丁寧に説明しており、フェアだとは思う。C型肝炎のウイルスを見つけるのには10年以上かかったらしい。未知のウイルスを見つけるのは時間と手間と根気が必要なのだ。そのためウイルスが見つかっていないという点だけで、著者が支持するレセプター仮説の根拠が失われるわけではない。プリオン説にしても仮説でしかない。というかほとんどが仮説でしかないのだが。著者には頑張ってウイルスを発見して、ノーベル賞を受賞してもらいたい。

ただ、「生物と無生物のあいだ」(ASIN:4061498916)のほうが面白かったかな。高校生の頃にこの本を読んでいたら、大学で生物学を勉強しようと思っていたかもしれない。それほどの魅力がある。