新しい科学論―事実は理論をたおせるか

新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか (ブルーバックス)

新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか (ブルーバックス)

読了。こんな面白い本を今まで読まなかったことが悔やまれるぐらい面白い。知的興奮を引き起こす一冊だ。20年以上に渡って読み継がれていることも充分納得できる。今年のベスト本の候補の一冊。

ニーチェの言葉である「事実などない。あるのは解釈だけだ」を非常に気に入っているが、この本もこの言葉を裏打ちしている。事実が積み重なって理論が生まれるのではなく、理論があって初めて事実をとらえることができる。事実とは英語ではfactだが、語源を鑑みると、「人の手で造り出された虚構」ととらえることもできるという。少し頭がくらくらしてくる。常識を美しく破壊してくれる本は本当に楽しい。