iPodは何を変えたのか?

iPodは何を変えたのか?

iPodは何を変えたのか?

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iPodに対する批判もよく聞かれる。社会学者などのインテリからは、iPodを身につけた若者は社会に背を向けて自らの小さな殻に閉じこもっているとの声も多い。著者は熱心にこの手の批判に反論を加えていく。もっとも、この手の批判はiPodの登場とともに生まれたわけではない。ソニーウォークマンの誕生と共にすでに存在しているのだ。iPodはこの手の批判を一層高める効果があっただけである。

この本が面白くなってくるのが、第三章オリジンからだ。iPodの開発の舞台裏が紹介されている。今になっては驚きでもないが、スティーブ・ジョブスのこだわりや美学がiPodに強烈に反映されていることが分かる。曲を再生させるまでに3回以上ボタンを押させるなという命令があったようだ。外部企業の力をうまく利用したと言う点も意外だ。何でも自社でやるのではなく、iPodの場合は開発スケジュールがかなり短かったために、積極的に社外の人材を利用している。元Appleの社員達は、会社を離れても敵対関係ではなく結構気軽に一緒に仕事をしているように見える。

今となっては、iPodが登場する前のmp3プレーヤーがどんなものだったのか想像するのも難しい。かなり使いにくい代物だったと本書では紹介されているが、iPodの操作体系に慣れてしまうと、これ以外のユーザーインターフェイスは存在しないだろうって思ってしまう。どう転んでも操作が難しいインターフェイスを作りようがないと感じるのだが、これはiPodに洗脳されてしまった結果なのかもしれない。

あとiTunesの開発の経緯も興味深い。