NHK プロフェッショナル・仕事の流儀 「勝負の決断はこうして下す・経営者・坂本幸雄」

録画してからだいぶ時間が経ってしまった。エルピーダメモリの経営者が今回の主人公だ。半導体ビジネスは非常に難しい商売だと思う。シリコンサイクルという名前があるように、好況と不況の差が激しい。巨額な設備投資が求められるだけに、一度工場を稼働させると後に引けない状況に追い込まれてしまうのも、過剰生産に陥りやすくなる要因だ。価格が下落すると減収分を補おうとしてさらに増産する。そうなると一層供給過剰になり、業界全体が泥沼に陥ることになる。減産したとすると、減価償却負担が大きくなり製造原価が高くなってしまう。加えてライバルにつけ込まれる可能性もある。チキンレースのようなものだ。相手が止まってくれることを祈りつつ突き進むしかない。このような半導体事業の特殊性を考えると、決断の重みも他のビジネスとは大きく異なってくるのだろう。常に大ばくちをやっているようなものではないか。
この番組を見て、社長のやり方には好感は持てたが、株式(銘柄コード:6665)に投資するかどうかと問われたら、「はい」とは答えにくい。技術革新により社会には大きく貢献しているが、投資家には長期的に魅力的なリターンを提供できるのか少し疑問も感じる。1兆円以上の投資を行い、業界リーダーのサムソン電子から半導体市場の覇権を奪い取るという計画も紹介されていたが、サムソン電子も黙っているとは思えないし、今後どんな展開になるのか注目だ。
会議は一時間以内に終わらせる。決断はすぐやる。間違っていたら素直に認めて変更する。などが印象的。社用車がなく社長も電車通勤というのが意外だ。オフィスも質素で低コストであることが伺える。