- Kurdistan: The Other Iraq イラク北部にあるクルド人自治区のレポート。内戦状態にあるバグダッドとは大きく異なり、町は平和そのもの。クルド人がほとんどなので宗教対立はないのだ。建設ラッシュで国造りが急ピッチで進められている。クルド人はアラブ人を信用していない。そして自分たちをフセインから解放してくれたアメリカに対しては非常に好意的だ。クルド人は独立したいと考えているものの、クルド人はイラクだけではなくトルコにも多く住んでおり、独立することは近隣諸国との摩擦を生み出すおそれがある。米国もクルド人の独立はもとより、連邦制にも否定的だ。クルド人達を他のイラク人達の手本にしたいと考えているようだ。
- The Widows of Harlan County ケンタッキー州の炭坑での事故。経営者は労働者が事故の原因と主張するのに対して、被害者の遺族はコスト最優先で安全処置を怠ったことが原因と見ている。石炭価格が上昇する中、効率優先でできる限り生産量を増加させようと経営者は必死になっているようだ。当局が事故を起こした炭坑には罰金の支払いを命じているものの、実際に支払う炭坑は少ない。また操業を止める権限もないのが現状だ。過去のWSJの記事にも同じようなものがあった。(参考：http://d.hatena.ne.jp/ichiyu/20060602/p4)
- When Jerry Met Mary アスペルガー症候群(自閉症の一種)のカップルの話。映画「レインマン」を見るまでは自分のことを自閉症だとは気づかなかったというのが印象に残った。ダスティン・ホフマンが演じた自閉症患者と同じように、すごい計算能力を有しているのだ。映画を見るまでは社会にうまく適応できない自分をいやになっていたというが、自閉症だと分かってからは、積極的に同じような境遇にある人とのつながりを求めてゆくようになる。そうして出会ったのがmaryだ。理想的なカップルと見られたものの、破局、そして再婚と映画のような展開。実際、この二人を題材にして映画も制作された。「モーツァルトとクジラ」という映画だ。自閉症といえば、日本だと暗い文脈で紹介されるような気もするが、このレポートはどこか違う。あまり深刻さを感じさせない。日本と米国の社会の違いなのか。
