会計の時代だ―会計と会計士との歴史

会計の時代だ―会計と会計士との歴史 (ちくま新書)

会計の時代だ―会計と会計士との歴史 (ちくま新書)

読み始める。会計の歴史には興味があった。よく言われるように、利益は意見でしかない。ということは思想とも言い換えることもできるわけで、時代と共に変わってきてもおかしくない。昔と異なり現在では未積立の年金債務は一定期間のうちに積み立てする必要があり、費用として計上されるし、営業権(のれん代)に関しても、昔は一定期間で償却することになっていたが、現在は償却しなくてもよくなった。何を費用として認識するかは、逆に言うと何を利益とみなすかということではないのかと思う。

複式簿記は、利益と資本を分離して把握することを可能にしたために、資本主義の発展には欠かせなかったとも考えられる。もちろん逆の可能性もある。株式会社の発展と共に組織が複雑化し、適切に管理するために複式簿記を利用せざるを得ない状況になったということもあり得る。複式簿記が登場するまでは、資本という概念が存在しなかったとも言える。

この本では会計を「説明」ととらえている。委託者と受託者が存在する場合、受託者は委託者に対して自らが何をやったのか説明する必要がある。株式会社の例では、「委託者」は株主だし、「受託者」は経営者になる。説明を担保するために、独立した立場からの監査が求められるし、専門知識を有した会計士という職業も必要になってくる。