父と娘の法入門 / 大村敦志

父と娘の法入門 (岩波ジュニア新書 (519))

父と娘の法入門 (岩波ジュニア新書 (519))

昨日読了。この本も岩波ジュニア新書。表紙のイラストやくだけた会話を見るとジュニア向けであることは分かる。父(著者)と娘の対話のみなのだが、ありがちな作り物っぽい感じがしない。かなりリアルな会話だ。リアルであるが故に当然、本題とは関係ない箇所での脱線もある。
法学部を卒業しただけに、この本の内容程度は違和感なく受け入れられる。反対に言えば新しい発見はあまり得られなかったことになるのだが。そんな中で新しい発見として、動物にも法人格を認めるように運動している人たちがいるということ。組織に対して法人格を認めるようになったのが比較的最近だったことを考えると、動物に法人格を与えることもそれほど無茶な話ではないような気がする。株式会社と同様に代理人が必要になるだろうし、エージェンシー問題も出てくることになる。禁治産者みたいに取り扱えばよいのかな。
本書では表紙を見ても分かるように、やたらと動物が出てくる。ほぼ全編で動物が関わってくる。動物と人間を対比させることで理解しやすくすることを狙っているのだろうか。
法は社会から乖離したものであってはならないというメッセージを感じる。社会にある常識を国家により定義したものが法と言えるのかもしれない。