図書館に訊け!

図書館に訊け! (ちくま新書)

図書館に訊け! (ちくま新書)

昨日と今日の二日間で読み終えた。非常に面白い。図書館の裏側というか、効果的な使い方がよく分かる。ただ研究者や大学生の読者に焦点を当てているようで、研究者以外には本書で提案された図書館活用法はあまり生かすことができないのではないかという気もした。使い方を知るだけでも(決して利用することはなくても)楽しかったことは事実だ。大学生の頃にも大学図書館にはよく通ったが、この本を読むと、全然図書館を利用しきっていなかったなあと感じた。
最近はウィッシュリストに追加している本を、図書館で借りまくっている。この本もアマゾンのウィッシュリストに追加していた本である。2006年3月11日にリストに追加したことになっているが、どこでこの本の存在を知ったのだろうか。今となっては思い出せない。

ネットで研究題材を検索することはあまりほめられたものではないようだ。ネット上の情報は信頼性が欠けるためである。正確性よりも調査速度を重視せざるをえないビジネスでは、ネット上の情報を積極的に活用することが正当化されるかもしれないが、学術論文を執筆するような場合は、ちゃんと裏がとれている情報を利用しないと、論文の信頼性がなくなってしまう。新刊書店で情報を探すのも、古い本を見つけることができないという理由で駄目。古本屋でもやはり品切れの可能性もあるので駄目だという。
百科事典の使いかたも非常に勉強になった。いきなりページをめくるのは良くないそうだ。百科事典には索引のみの巻があるので、そこで調べるのが正しい。いきなりページをめくると、検索しようとした単語が見出しとなっているページしか見つけることはできない。索引巻では、見出しになっていなくても、他の見出しの記述の中で言及されているページも紹介されるので、より幅広い情報を取得することができる。また百科事典には、それぞれ特徴があるので複数の事典の記述を比較するのも大事だという。

図書館でのリファレンスサービスを積極的に利用するようにとのメッセージが繰り返し出てくる。リファレンスサービスは一種の人力検索だ。図書館の情報(他の図書館にある情報を含む)を扱うコンシェルジェとも言える。図書館員(著者本人も含む)はこのスキルを磨くために日夜努力しているのだそうだ。経験と推理力が試されるサービスなのだが、利用する人はあまり多くないという。近所の図書館でもリファレンスサービスは提供されているが使ったことはないな。

大英図書館の利用資格を得るのはかなり難しい審査(面接試験)があるという。莫大な書籍を保管しているのだが、利用者を応対できるスタッフの数も少なく、無制限に利用者を受け入れることはできないという。そのためなぜ大英図書館でないといけないのかとインタビューされ、相手を納得させてようやく利用資格を得ることができるという。

この本の中には様々なサイトのアドレスも掲載されているが、一番面白そうなのがJapan Knowledgeである。有料制だが、1ヶ月1500円程度なので申し込んでみようと考えている。