ローマ人の物語 (15)

ローマ人の物語 (15) ローマ世界の終焉

ローマ人の物語 (15) ローマ世界の終焉

読了。一気に読んでしまった。15巻かけてローマ帝国の興亡を描いたわけだが、西ローマ帝国の終わりはなんとも拍子抜けするものだった。そもそも西ローマ帝国が終わった年は判明しても、正確な月日までは分からない。侵入してきた蛮族が西ローマ帝国の皇帝を退位させて、それっきりの状態に放置したためだ。
西ローマ帝国が崩壊しても、東ローマ帝国はまだまだ存続するのだが、ユスティニアヌス帝以降の東ローマ帝国の歴史までは描かなかったのは、東ローマ帝国ローマ帝国が守り続けてきた精神を引き継いでいないと感じるからなのだろう。

キリスト教ローマ帝国を崩壊させたと改めて感じる。絶対君主制にはキリスト教が好都合だった。絶対君主制の下では指導者は神の意志で選ばれることになるので、世襲で皇帝の座が引き継がれてゆき、実力あるものが登用されることはなくなってしまった。これが統治能力の低下を招くことになる。しかもキリスト教の中でも、カトリックアリウス派の対立が内部抗争を生み出し、無用な戦いを引き起こすことになる。蛮族に対して一致して対決することも困難になってしまった。


「海の都の物語―ヴェネツィア共和国の一千年」(ASIN:412000970X)はだいぶ前に読んだが、再び読みたくなった。ちょうどに西ローマ帝国の崩壊の時期に、ヴェネツィアが生まれている。西ローマ帝国の統治能力が優れていれば生まれなかった可能性が高い。なにしろ蛮族から逃げ出すために、わざわざ苦労して海の上に都市を建造したわけだから。