「経済人」の終わり―全体主義はなぜ生まれたか

「経済人」の終わり―全体主義はなぜ生まれたか

「経済人」の終わり―全体主義はなぜ生まれたか

読了。欧州のバックボーンとも言える、自由と平等をベースに全体主義を論じるのはやはり迫力がある。スケールがでかい。
最後の章は「未来」というもので、今後、事態がどのように展開するのか探っている。独ソ不可侵条約の締結を予言していたのは驚く。高校の頃世界史を勉強していた時を思い出すと、独ソ不可侵条約は当時の世界に大きなショックを与えたと教科書に書いてあったと記憶している。ドラッカーはそこまで予言していたのか。
独ソ不可侵条約が不可避だとドラッカーは考えたのは、全体主義が抱える政治的・社会的現実は、同一の政治的・社会的構造を持たないヨーロッパ諸国との密接な経済協力を不可能にするからだそうだ。ヨーロッパ諸国との経済協力を進めることは、全体主義体制に例外を設けることになり、全体主義国家の崩壊を招くからだという。

「経済人」に代わる新しい人間像が必ずや登場すると主張しているが、どんな人間像になるのだろう。第二作目になる「新訳 産業人の未来―改革の原理としての保守主義」(ASIN:4478320896)がその答えを出しているのかもしれない。



高校の世界史でついでに思い出したが、山川出版社の「世界史用語集」(ASIN:4634030101)はかなり面白かった。文章が非常にドラマティックで痺れたことを思い出す。特に現代史のあたりが。現在は世界史Aと世界史Bという二つに分離しているみたいだが、いつからこんな風に変更になったのだろう。世界史用語集は相当読み込んだのでぼろぼろになってしまった。結局2冊購入したはずだ。また読みたくなったな。山川世界史小事典(ASIN:4634090201)は手元にあるが、用語集と比較すると読みにくいし面白くもない。