20060830

  • MTVは過去20年以上にわたってライバルを退けてきたという歴史を有している。しかしネットではMySpaceYouTubeといった新興企業に大きく出遅れているのが現状だ。テレビの視聴率は悪くないが、MTV Overdriveという同社のサイトには若者を引きつけることができない状態である。Viacomは放送部門を分離させたために、MTVを中心とするケーブルチャンネルが収益の多くを占めるようになった。そのためMTVのネット戦略も重要性を帯びている。ドットコムバブルでやけどを負ったために、ネットに多額の投資をつぎ込むことに躊躇したのも出遅れる原因となった。MySpaceも同社が先に買収しようとしたが、News Corpほどの高値を付けることができずに敗北することになった。

  • ヘッジファンドが新しい戦略を行使し始めた。SECへ決算書類を提出するのが遅れることは、契約書上ではデフォルトになるのだが、通常の社債保有者とは異なるアプローチで発行体である企業に圧力をかけている。普通の投資家は、デフォルトを主張するよりも、発行体に協力的な姿勢を見せるものだが、ヘッジファンドの場合は強硬にデフォルトを主張し、額面での返済や手数料の支払いなどを求めているのだ。最近、ストックオプションのバックデーティングの問題が広まり、多くの企業で決算書類の開示が遅れている。この手のスキャンダルに巻き込まれた企業の社債は額面を下回って取引されることもあるので、償還日前に額面で返済されると簡単に高い収益を得ることができるという点がヘッジファンドにとっては魅力的だ。圧力にさらされて、デフォルトの主張を引っ込める代償として社債保有者に高額な手数料や条件変更を行った発行体もある。

  • 原油価格が上昇する中で、ガソリンなどの石油精製品の価格も上昇している。ガソリン価格の上昇は原油高だけではない。精製能力が逼迫しているという点も大きい。米国内ではコストや環境保護の問題から過去30年間新規の精製工場を建設することはなかった。そして石油精製ビジネスは低利益率だったために、輸送コストを抑えるために消費地に近い場所に工場を建設するのが一般的であった。しかし原油高と精製能力不足という問題は、今までの構図を大きく変化させている。米国から遠いアジアに精製所を建設しても、利益率が高いために充分輸送コストをカバーすることが可能になったのだ。そのため世界中で精製所の建設ラッシュが発生している。その中でも過去最大のプロジェクトが、インドのReliance Industriesがインド国内でChevronと共同で建設している精製所だ。10万人以上の労働者を投入して今までの半分のコストと期間で完成させることを目指している。多くの精製所が建設予定であることから、将来は精製ビジネスの利益率も低下すると予想されている。加えてガソリンの需要自体もバイオディーセルなどに食われてしまう可能性もある。このようなシナリオを念頭にできる限り早く稼働させて収益を稼ぐ計画だ。もしガソリン価格が下落しても、需要が拡大しているインドという大市場もバッファーとなってくれることを期待している。

  • Googleで検索すれば何でも調べることができるように思える現代において、図書館は新しい役割を示すようになった。起業家を支援するという役割である。図書館は市場調査に欠かせない詳細なデータベースを多数抱えており、お金のない起業家でも無料で利用できる。しかもデータを提供するだけではなく、ビジネスプランの作成方法などのビジネス関連の授業まで提供するところもある。またネットワーキングの機会を提供し、起業家同士の交流を促している。
    たしかしばらく前の日経新聞土曜日版に日本でも同様のサービスを提供していることが紹介されていたような気がする。
  • 中国で新しく始まるリアリティー・ショーはかなり型破りな内容だ。北京五輪の漕艇種目のコックスを選ぼうというのだ。中国では前回のアテネ五輪で米国に次ぐ金メダルを獲得したために、これ以上の躍進を期待するのは難しいと関係者は予防線を張っている。不人気な種目である漕艇の選手をテレビを通じて選ぶという試みを行うことで、オリンピックをより親しみやすいものにするというねらいがあるようだ。正式な選手に選ばれるかどうかは審判に加えてテレビの視聴者が決めることになる。なぜかダンスやカラオケ対決も含まれる予定だ。
    カラオケ勝負もあるというのが面白い。
  • リコール問題に対応するために、トヨタ自動車は新車の投入を半年程度遅らせる可能性がある。品質の高さが同社のイメージだっただけに、最近のリコールの多さは経営陣に危機感を与えている。昨年のトヨタ自動車による米国内のリコールは販売台数よりも多かった。リコールが増加している背景には、系列外の部品会社からの調達を増やしていることや、三菱自動車リコール隠しを受けて、積極的にリコールを行うようになったという要因がある。今までは顧客サービスと偽ってこっそり部品交換を行っていることもあった。部品の共通化を進めたことも、その部品に問題があった場合に、影響を受ける車種が増加するという事態を引き起こしている。コンピュータを使った設計が普及し、実際に試作品を作成することが減少していることもトラブルの要因であるとの指摘も出ている。

  • 動画共有サイトYouTubeは自社のデータをあまり公開していないが、ウェブサイトをスクレーピングすることで多くのデータを収集できる。この収集したデータから面白い分析結果を紹介。YouTubeに投稿されたビデオは1ヶ月間で2割というかなり高い成長率を見せている。ダンスとか、ラブとか、ガールといった単語が含まれているビデオが人気が高い。データの合計は45テラバイト以上と推定される。登録ユーザーの7割は米国人で、半分は20歳以下。もっとも多くの画像を見ているのはカリフォルニアに住むとある23歳の男性。もっとも多くの動画をアップしているのはカリフォルニアのとある女子大生。YouTubeの人気はハーバードの大学教授や統計学者といった人たちを引きつけている。魅力的な研究題材に映るらしい。