利己的な遺伝子

利己的な遺伝子 <増補新装版>

利己的な遺伝子 <増補新装版>

ミームが登場。遺伝子による進化という考えになじんでいるために、それはじつは可能な他種類の進化のうちの一例に過ぎないことを忘れてしまうのだという。遺伝子は生物機械(人間など)に乗って自分を広めていく訳だが、ミームは人間の脳に寄生して自らを広めようとする。遺伝子は他の遺伝子と競合するが、ミームも同様である。ミームは人間の脳に寄生して広まっていくので、限りある人間の脳という資源をミーム同士が奪い合うことになる。この構図はアテンションエコノミーを連想させる。
「つきあい方の科学―バクテリアから国際関係まで」(ASIN:4623029239)を紹介している箇所が多い。
遺伝子は利己的である(遺伝子プールの中での自分の存在感を高めようとすること)という原理から、動物の行動を分析できてしまうのは驚きだ。利他的に見える行動でも、背後には自己の遺伝子を広めようとする遺伝子の働きが存在しているようだ。

この著者の本をもう少し読みたくなった。「盲目の時計職人」(ASIN:4152085576)あたりがいいかな。分厚い本の場合は借りるよりも買った方が良さそうだ。