ミュンヘン

ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]

ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]

久しぶりにツタヤでレンタル。160分以上もありかなり長い。土曜日と日曜日の二日間に分けて見た。
暗殺者チームの視点で描かれているために、見ている自分もアグナー(黒い9月のメンバーを暗殺するように指示されたイスラエル人)の仲間のように感じてしまう。緊張感が全編を通じて漂っている。殺害のシーンは結構グロテスクだ。
テロリストには法の裁きではなく、暴力で対抗するというメイア首相の判断が正しかったのかどうか、評価は難しい。スピルバーグ監督自身も解説でこの判断の善悪を問うている訳ではないとしている。

テロリストを殺しても、より凶悪な後継者が登場するだけだというアグナーの主張も分からないではないが、イスラエル政府の言い分(爪は切っても伸びてくる、だからといって切らなくて良いわけではない)という反論ももっともだと思った。

アグナーはテロリストを殺していくうちに、自分は暗殺者ではなく暗殺の標的であるとの被害妄想(仲間が殺されていることを考えると根拠のないものではない)を持つようになってゆく。自分や家族の生命を危険にさらしてまで、テロリストを暗殺していくことに何の意味があるのだろうと疑問を感じていく。しかもテロリストは雑草みたいなものなのでいくら切ってもいくらでも生えてくるのだから。永遠にこんなことを続けていかないとしたら、絶望感も感じるのは理解できそうな気がした。



ルイという情報屋(加えてルイの父親)は何者なのか、最後まで疑問は解けず。黒い9月のリーダーであるサロメは結構贅沢な生活を送っているように見えたが、どこから資金が出ていたのか、この点も疑問として残った。ルイが話していたようにCIAが資金を提供していたのか?

あと、冒頭と途中で流れる曲が良かった。中近東風の女性ボーカルの曲。不安や悲しみを連想させるこの曲は映画のイメージにぴったりだ。