内なる目―意識の進化論

内なる目―意識の進化論 (科学選書)

内なる目―意識の進化論 (科学選書)

読了。「フロー体験 喜びの現象学」(ASIN:4790706141)に通ずるところも多いと感じた。フロー体験を通じて内なる目が育ってゆくのかもしれない。
子供が内なる目を鍛えてゆくのは、遊びを通じてである。遊びとは重大な結果をもたらすことなく擬似体験を行うことを意味する。この遊びを通じて様々な体験・感情を味わい、他人の心理をよりよく理解する天然の心理学者に成長してゆく。
最後には戦争の話題が登場。人間が高度な社会を形成するのに欠かせなかった、この「天然の心理学者」という能力がありながら、なぜ戦争という状況では他人の心理を推し量ることなく残忍な行動を取ることができるのか。この疑問に答えている。軍隊という装置は「天然の心理学者」という人間の本性を抑圧するための仕組みが何重にも施されている。上意下達の制度は自己を殺すことを意味する。また戦争の相手方を人間以下のものと蔑視するのも相手に対する共感を排除することにつながる。恐ろしいのはこの仕組みは必ずしも軍隊だけではなく、日常生活でも成り立つという。


解説に登場していた「免疫の意味論」(ASIN:4791752430)も面白そうである。薬関係の勉強をしていた妻は免疫が一番勉強していて面白いと話していた。