20060815

最近再び読む量が増えてきた。

  • イエメンは米国の友好国と見られている。同国は米国より多額の援助を受けている。そんな同国で最近、イラクでテロ活動を行おうとしたイエメン人の裁判があり、その判決が大きな反響を呼んでいる。裁判官は、イエメン人が海外で聖戦(ジハード)活動を行うことは合法であるとの理屈から、被告を無罪放免にしたのだ。米国はこの判決に不満を見せているが裁判官はこれ以外に判決を下しようがないと主張している。この裁判官は家族が米国に住んでおり、多くの米国人の友人も有している。家族や友人からは判決に対する批判が相次いだという。イスラム法では異教徒がイスラム国家を支配している場合は、聖戦を行うことが可能としている。イラクでは米国が支配していることからこの解釈が合致するという。先日、ロンドンを舞台にイスラム過激派がテロ事件を起こそうとしたが、この裁判官の見方は、このケースは有罪になるという。英国はイスラム国家ではないためだ。

  • 韓国の小売市場は巨大外資にとっても攻略するのが難しいようだ。ウォルマートカルフールが相次いで撤退している。そんな中、急成長を遂げているのが現地企業の新世界百貨店(Shinsegae)が運営するE-Martだ。ディスカウントストアだが、ウォルマートのような倉庫型の店舗ではなく、屋外のにぎやかな市場をイメージした店舗デザインが大きな特徴である。同社はウォルマートから店舗を買い取る計画を進めており、買い取った後は内装を変化させる予定だ。同社の躍進のきっかけは、通貨危機後の不況時に行った出店である。一等地を格安で手に入れることができたのが現在の好調な業績に結びついている。同社はアジアをはじめとする海外進出も検討している。

  • モトローラの株価は高値水準にある。同社の魅力的な携帯電話の新機種が投資家の関心を集めている。しかし気がかりな問題もある。同社の携帯電話端末事業の利益率があまり上昇していないのだ。大ヒット製品であるRAZRの存在にも関わらず、利益率は1%足らずしか上昇していない。シェア1位のノキアと比較しても大幅に劣る水準だ。RAZRは発売当初は400ドル以上で携帯電話会社に納入していたと見られているが、現在は100ドル台にまで下落、60%以上の下落率となっている。これは平均的な端末の年率2割の下落率よりも大幅に高い。また発展途上国ではシェア獲得のために収益性を犠牲にしているとも見られている。新機種の投入というニュースもあるが、利益率はこれ以上上昇しないと見るアナリストもいる。同社のPERはノキアよりも多少高い水準にある。

  • 株主アクティビズムが広がる中で、上場企業は日頃の株式市場の動きにはいっそう注意を払う必要が生じている。特にヘッジファンドなどが経営陣に敵対するような提案を突きつけてきた場合にはなおさらである。このような場合に頼りになるのが、Stock watchと呼ばれるサービスである。IR関連のサービスを提供するThomson Financialなどが行っている。このサービスでは顧客企業の株式取引の動向をデイリーでチェックし、株価の動きの背後にある要因を分析して報告している。誰が購入したか、誰が売却しているのかなどを分析する。5%以上保有している場合は法律により開示しなくてはならないものの、投資信託ヘッジファンドの場合は報告期限が長いために、いきなり大量の株式を保有していることを知ってびっくりするような事態は避けられる。どんな株主が保有しているかを知っておくことで、株主提案に対する支援がどの程度集まるのか推測することも可能になる。stock watchサービスの会社では、業界内の情報源から取引の動向を推測したり、決済をどこで行っているかを見ることでヘッジファンドが取引しているかどうかを判断している。

  • パソコンなどで電源として用いられるリチウムイオン電池が航空関係者の間で問題視されつつある。数は少ないもののリチウムイオン電池が原因と見られる火災事故が機内で発生しているためだ。現在FAAは対応を検討している最中で、機内でのパソコン利用が禁止される可能性もある。バッテリーを生産しているメーカーの団体は、安全性は担保されているとして規制には反対の立場だ。リチウムイオン電池はHPやアップル、Dellなどでもリコールの原因となっている。問題が大きいのが、パソコンに標準で搭載されているのではない別売りの電池である。偽物だったり安全性の基準を満たしていない場合も多く、発熱する場合があると見られている。携帯電話にも同じタイプの電池は利用されているが、機内では携帯電話の利用が禁止されているために問題は生じていない。旅客機だけではなく、フェデックスUPSの輸送機でも積み荷のバッテリーが原因とみられる発火が起こっている。
    今朝のWSJでもデルが過去最大級のバッテリーのリコールをおこなったことが大きく報じられていた。
  • フランステレコムは上場企業であるものの、かつては国営企業として運営されていたために現在でも従業員の3分の2は公務員の扱いになっている。そのため通信業界が大きく変わっても人員削減を進めることができない。残りの3分の1に関してもフランスの労働法が解雇をきわめて困難にしているために削減はかなり難しい。同社の株価は90年代に上場したときには急上昇したものの、通信バブルがはじけてからは株価も9割以上下落した。過大な債務を背負っていることやコスト削減が進まないことが嫌気されている。そんななか同社は何とか人員を削減すべく知恵を絞っている。公務員として扱われている社員を役所で雇ってもらえないか政府と交渉している。この施策により営業マンが学校の先生に配置転換した場合もある。この施策以上に大胆なのが、社員が起業する場合に会社が資金援助するという制度だ。資金援助だけではなく、アドバイザーをつけて事業計画立案までも支援する。魅力的な計画であれば資金援助する。ただすべての計画で資金援助が受け入れられる訳ではない。この制度によりワイナリーやバーを始める社員も登場した。起業して3年間のうちに事業に失敗すると会社に戻ることができるという特典まで用意されている。

  • 資源価格の上昇により、企業の行動に変化が生じ始めた。かつては垂直統合モデルから脱却する動きが進んでいたが、これが逆になり始めてる。より上流にある企業を買収することで部品の調達に支障を来さないように行動する企業が目立つ。この動きが目立つのが製鉄業界だ。鉄鉱石を自社でまかなう方向に進んでいる。エアバスボーイングチタニウムの安定調達に向けて生産会社との資本提携に乗り出した。ブリジストンはゴムの調達のためにプランテーションを買収している。このような行動は資本を固定化させるために好ましくないものの、安定調達と調達コストを抑制するためには避けられない行動と見られているようだ。