20060809

  • 中国では医療制度の改革が進んでいる。大きな政策として、都市部と過疎部での病院の格差を是正するというものがある。この政策に従い、多額の投資が病院に行われる予定だ。この恩恵を受けるのが中国の医療機器メーカーだとアナリストは見ている。現在はGEやPhilipsなどの外資系企業が市場を牛耳っているのが現状だが、これらの会社は中国全土をカバーすることもできない。現地企業は外資系のように最先端の医療機器を提供することは難しいものの、より技術水準の低い医療機器を提供することで医療制度の改革の恩恵を受けることができるとアナリストは指摘している。また現地企業の技術水準も向上しているとの指摘もある。中国の医療機器メーカーは小規模なものが多いが、ナスダックに上場しているChina Medical Technologiesが魅力的だ。この会社にはGEも出資している。

  • 中国のある町で、狂犬病への対策として町の犬全部を殺害するという決定が下され、実行に移された。このニュースは中国国内や海外で大きな反響を呼んでいる。反対の声が非常に大きく、海外の動物愛護団体は中国製品のボイコットまで呼びかけている。中国国内では犬を飼う人が多くなってきた。かつては資本主義の代表というイメージで見られていたペットが庶民的なものに変わりつつある。都市部の金持ちだけではなく、幅広い層で犬を飼う動きが見られる。単にセレブの行動を真似しているだけではない。一人っ子政策のために、子どもには兄弟が無く、遊び相手がいないことも、ペットの需要を高めている。中国における犬への態度はペットとして大切する人もいる一方で、食肉として売られているというという現実もあり複雑である。
    経済成長が続くと、おのずとペットブームになるということなのかな。
  • 医療機関の顧客サービスは決して良くは無かったが、最近は覆面患者を起用して顧客サービス向上に努める医療機関が増加している。覆面患者からのフィードバックを元に、顧客サービスを改善しようとしているのだ。この背景には医療機関間の競争の激化に加えて、10月より政府が病院間の顧客満足度調査を公表するという点がある。このランキングで下位になりたくないと願う医療機関は覆面患者を雇ってサービス向上を考えている。覆面患者は正確なレポートを提供するために、様々な方法で記録をとる。テープレコーダーを用いたり、分からないようにメモする。本当に医療サービスが必要な患者に迷惑にならないように、繁忙期以外に訪れる場合もある。
    この前読んだ「アメリカ医療の光と影―医療過誤防止からマネジドケアまで」(ASIN:4260138707)でも医療機関間のサービス競争が紹介されていた。
  • お客様問い合わせ窓口に電話しても、様々な選択肢が自動音声で提示され、何度もボタンを押さないと人間と話すことができないという苦情は多い。コールセンターの外注化によりこの問題は大きくなっている。自動音声の選択肢の中で迷子になってしまう人も多い。このような人を助けるべく、Gethuman.comというサイトがある。このサイトではどうすれば早くスタッフと直接話すことができるか裏技を紹介しているのだ。このサイトは、自動音声ガイダンスのガイドラインを自ら定めるまでにいたっている。このガイドラインマイクロソフトの製品に実装される予定だ。このサイトだけではなく、多くの企業や議員が、自動音声のコールセンターの問題に取り組んでいる。いくつかの州では規制する法律まで成立した。顧客満足度を引き上げるために、シティバンクでは、すぐにスタッフと話すことができる電話サービスを売り物にした特別なクレジットカードも提供され、反応は上々だという。

  • エクソンモービルなどの大手石油会社は原油高を受けて多額の利益を計上しているが、会計制度が変更になれば、もっと多くの利益を計上していたと見られている。石油会社は後入れ先出し法(LIFO)を利用しており、現在の原油価格がコストとして計算される。そのため在庫コストが過大に評価され、利益が圧縮されていると指摘される。国際会計基準ではLIFOは禁止されているので、BPなどの欧州の石油会社の業績と米国企業を直接比較することは困難だ。LIFOは米国では完全に合法であり問題ではないものの、税金をごまかしているとの批判も大きく、議会では何度もLIFOを撤廃しようとする動きがあった。火種はまだ消えてはおらず、今後も議会での論争は続きそうだ。

  • 原油高を受けて、石油株は上昇しているものの、同じエネルギーセクターの天然ガス会社の株価はそれほど上昇していない。天然ガスは冬場に上昇するというのが通例だった。今年は猛暑により電力会社も発電量の増加を急いで進めているために、発電効率が劣っている古い発電所を再稼動している。これが天然ガスの価格の急上昇を引き起こした。あまりにも天然ガス価格が急上昇したために相場を読み間違えたヘッジファンドが閉鎖に追い込まれるほどであった。天然ガスは今後も価格が上昇するとの指摘が多い。まず需要面では、新築される住宅は天然ガスを暖房として用いるケースが多いという点がある。反対に供給面では北米における生産が低下していることに加えて、生産効率が悪化しているという問題もある。原油と異なり、天然ガスは、生産地で液化し、タンカーに載せ、到着してから再び気体にするという複雑な処理が必要なので輸入が難しいという問題もある。輸入用の施設の建設も進められているものの、稼動するためには当分時間がかかると見られる。PERで見ても、天然ガスに注力している会社、AnadarkoやDevonは石油会社よりも低い水準で放置されている。

  • 紅茶ブームの米国の現状。コーヒーよりもカフェインが少なく、健康的とのイメージで紅茶の人気が米国で高まっている。過去15年間で売上は3倍に膨れ上がった。米国では8割以上はアイスティーとして飲まれている。人気が高まっているとはいえ、コーヒーと比較すると市場規模はまだまだ小さい。スターバックスなどのコーヒーチェーンも紅茶ビジネスに参入している。
    The Economistのクイズで知った記事。ボストン茶会事件まで引き合いに出されているのが英国の雑誌らしいところかな。