- 作者: 梅棹忠夫
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1999/04/01
- メディア: 文庫
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- 「脳神経系の異常な発達は、外界からはいってくる情報の緻密な分析を目的としたものではない。神経中枢の異常な発達によって、情報の分析が可能になったのである。」P214
P49の「虚業観念の居なおり」が面白い。虚業と聞くと蔑んだ印象を持つが、この文章では虚業という言葉を肯定的に捉えている。数学の虚数に近い存在だと考えているようだ。虚数は存在しない数字でも、むなしい数字でもなく、実数とは異なる独自の性格を有していると考える。実数(この場合は実業)しか存在しなかったところに、虚数(虚業)が登場することで複素数という新しい高みにまで数学が進歩したのと同じような構図を、虚業の登場に見ているようだ。数学がぜんぜんだめなので複素数と聞いてもなんのことやらわからないが。