20060525

  • ストックオプションのバックデーティングの問題が市場で大きく騒がれるようになった。SECは1年以上前よりこの問題を捜査している。オプションは普通、権利を付与された日の株価が行使価格となるが、株価上昇前にオプションを付与したものとして実質的に割安な行使価格のオプションを提供していたのが今回の問題である。分析方法はアナリストによって異なるものの、多くのアナリストが問題含みの会社をリストアップしており、指摘された会社の株価が下落している。この問題は今までの会計スキャンダルで浮上したような問題とは異なる。収入を水増ししたりするといった利益に関わる問題ではないためだ。しかしこのような問題が発生していることは他にも内部統制の面で問題を抱えているのではないかと機関投資家は考えているようだ。また捜査に関連して経営陣が辞任することが予想されることも不透明感を生み出している。ただ業績が良いにもかかわらず、オプション問題で急落した株は割安だと見る投資家もいる。

  • 米国企業では、従業員がID窃盗の被害にあった場合のサポートサービスを提供するところが増えている。会社自らが支援を行うのではなく、サービスを提供している外部企業と契約して提供される。ID窃盗に被害にあう米国人は非常に多い。被害金額も莫大なものとなる。一度被害に遭うと、犯罪者が被害者の名前で取得した借金などの整理をするだけでもかなりの時間や労力を必要とする。問題解決に必要となる時間を節約することができれば、従業員の生産性を一層向上させることができると考えている。多くの会社がID窃盗の被害者に対して支援サービスを提供しているが、提供されている多くのサービスがネットを通じて無料で入手できるものだと指摘されている。
    日本ではID窃盗に類似した犯罪は聞いたことがない。私が知らないだけかもしれないが。
  • 石油メジャーが米国議会で苦戦している。米国内の石油資源が減少している中、石油メジャーは海外に活路を見いだしていた。そのため外国政府や株式市場に対しては積極的に対応していたものの、米国政界に対する対応はかなり手薄になっていた。しかも石油メジャーの統合が進んだことで、米国内の従業員数も減少しており、一層政治力の低下につながっていた。また献金額も同様に減少している。このような状況の下、米国政界から石油メジャーに対する厳しい政策が打ち出されようとしている。特に今年は中間選挙を控え、ガソリン価格が有権者の懐を直撃していることから、議員達の石油業界バッシングはしばらく続きそうな勢いである。今まで石油業界に好意的であった共和党でさえ、石油業界を批判するようになった。テキサス州はエネルギー業界の味方であったが、現在は同州の議員は中央政界での影響力を低下させている。石油メジャーも政界の雰囲気が変わっていることに対応して、献金額を増加し、ロビイストの増員を行っている。

  • 日本などのアジアでは人気を集めていた、カメラ付き携帯によるネットアクセスが米国でも普及し始めている。カメラで特殊なバーコードを撮影すると、そのコードの中に埋め込まれたアドレスにアクセスすることができるというものだ。ただ現在はいくつかの方式が並存しているほか、カメラ付き携帯すべてで利用できるわけではない。また端末に専用ソフトをダウンロードする必要がある。Nokiaは今年にも、あらかじめソフトウェアを組み込んだカメラ付き携帯を販売する予定だ。バーコードは広告や商品を始め、建造物にも登場している。SemapediaというNPOでは、世界中の建造物にバーコードを掲載し、 Wikipediaでの該当ページへのリンクを提供している。
    PaperClickという企業も紹介されている。