入門経済思想史 世俗の思想家たち

入門経済思想史 世俗の思想家たち (ちくま学芸文庫)

入門経済思想史 世俗の思想家たち (ちくま学芸文庫)

引き続き読む。経済学が陰惨な科学と呼ばれるきっかけとなったマルサスリカードに関する箇所を読んでいた。アダム・スミスが市場システムを通じて、個人の利己心を社会全体の発展に貢献させることができると楽観的に考えていたが、リカードはそうではなかった。労働者は賃金が上昇しても子供をたくさん作り、将来の労働者を増加させてしまうと見た。増加した多くの労働者を食べさせるために多くの食料を生産する必要があり、食料価格は上昇せざるを得ない。そのため賃金も上昇することになり、この利益は地代として土地保有者の懐に入ってしまうと考えていた。資本家は地代の上昇と賃金の上昇により自らの分け前を失うことになるとリカードは考えたのだ。

この本を読んでいると、「人類が知っていることすべての短い歴史」(ASIN:4140811013)に似ているなあと感じる。自然科学と経済学なので分野は全然違うのだが、構成がかなり似ている。ビル・ブライソンも参考にしたのかもしれない。人間を中心に描いていることがそう思わせる原因かも。

同じ著者の「私は、経済学をどう読んできたか」(ASIN:4480087893)も読みたくなった。