20060501

  • 中国で2004年後半以降初めての利上げが行われた。預金金利は変わらないものの、貸出金利は引き上げられる。これは中国の経済成長は指導者達が懸念を示すほど高いことを意味している。加えて、世界経済にとっては、中国は市場メカニズムを利用して経済運営を行っていくことを示してもいる。金利の上昇幅は低く、どの程度の景気引き下げ効果があるのかは不透明だが、中国の高成長により不良債権が増加し無駄な設備投資が高まっていることを考えると、景気を減速させることは世界経済にとっても好ましい。過去の中国経済は高成長と景気の急低下というサイクルを繰り返してきた。中国経済が小規模だった頃にはそれでも良かったが、現在のように大規模になってくると、景気が急低下した場合には世界経済に与える影響も大きくなる。米国は今回の利上げを評価している。金利を柔軟にしないと通貨も柔軟に変動させることは難しいので、人民元の切り上げにもつながるとの期待もある。景気鈍化への懸念から、利上げ後には商品市況は急落している。

  • ゴールドマン・サックスでは自己勘定による取引から得ている利益がかなりの比率に及ぶが、具体的にどのようにして利益を上げているかは外部からはわからない。同社の社員は猛烈に働くのが普通の投資銀行業界においてもひときわ勤勉で知られる。人材の採用ではかなりの労力が投じられており、リクルーターが様々な大学を回っている。面接はいつ終わるともしれない長いもので、特別な経歴を有する人材の場合は面接を100回以上受けるということもある。一度採用が決まると、決心が付かない候補者にはCEO自らが説得に乗り出す。同社では多くの社員がマネージング・ディレクターを目指して競争する。そのディレクターの中でもごく一部が会社の利益の分配にあずかることができる。ヘッジファンドなどに流出する人材もいるが、他の投資銀行に転職するのは稀である。ヘッドハンターも他の投資銀行に転職させるのには苦労しているようだ。社内では肩たたきもあるが、内密に行われるために外部からは肩たたきという印象を与えることはない。
    CEOは"Goldman is a hard place to be hired, a hard place to be promoted and a hard place to stay."と語っている。給与は高いものの大変な職場みたいだ。