20060421

  • 海賊と聞けばおとぎ話やハリウッド映画を連想させるかもしれないが、現代においても多くの海賊が存在している。2004年末のアジアの津波災害によって小規模な海賊団はかなり消滅したという話もあるが、武装した大規模な海賊団も登場しているという。海賊達は船を襲って貨物を奪ったり、乗組員を誘拐して身代金を巻き上げたり、さらには船そのものを奪うケースもある。海賊達が武装するにつれて、テロリストとの区別が曖昧になっている。保険会社は海賊被害を受けて多額の保険金を支払っているが、テロリストとの区別が曖昧になっていることを口実に、通常の保険契約とは別に海賊被害は戦争保険でカバーすべきとの声も出ている。
    入社当時、調査部で海運業界のレポートを書くことになった。そのとき、業界紙を眺めていると海賊対策が結構大きく取り上げられており、かなり驚いた記憶がある。今の時代に海賊?って感じだ。関係ないが、パイレーツと聞くと「だっちゅーの」を思い出してしまう(古いか)。
  • webブラウザを利用してソフトウェアを利用するという、いわゆるソフトウェアのサービス化(SaaS)が話題になっている。しかしこれがすぐにマイクロソフトやオラクルやSAPなどの今までのソフトウェア企業を脅かすとは考えにくい。現在のところは中小規模の企業を中心にSaasは普及している。コスト面で有利だからだ。大企業はすでにソフトウェア投資を行っているためにあえてSaaSに進むメリットも今のところ存在しない。業務の種類に応じてどのソフトウェアをSaaSにするかが決まってくると指摘する声もある。給与計算や会計などはそれ自体が競争力とならないのでSaaSを利用し、競争力の源泉となる業務のソフトウェアは社内に抱えるという形である。
    SaaSの記事が多い。WSJNew York Timesでも取り上げられていた。
  • 信用取引(margin loans)が再び盛んになっている。ただ手持ちの証券を担保に金を借りて新たに証券を購入するのではなく、証券会社の口座に預けている有価証券を担保に金は借りるが、用途は証券投資には限られない。ジェット機や不動産投資、税金の支払い、子供の学費などに充てられることもある。銀行より金を借りるよりも簡単で金利も低いのが魅力だ。証券会社にとっても(特にディスカウントブローカー)、この手の信用提供は非常に魅力的だ。金利は上昇しているものの、上昇分をすぐに顧客に転嫁することができ、しかも預かっている資金に対する金利は抑えているために利幅が拡大している。ただリスクもある。株式や債券が下落すると追い証を提供せざるをえないが、前回の株式バブル時のように担保の差し入れができない顧客が増加する可能性もある。
    日本でもこんなサービスはあるのかな。ノンバンクでは有価証券を担保にしたローンはあると思うが、証券会社でもやっているかどうか。
  • ゴールドマン・サックスの好業績の背景に、自社で運用しているヘッジファンドが好成績を収めているという事実がある。多額の成功報酬を受け取れるためだ。このヘッジファンドはGlobal Alphaといい、クオンツ的手法で割安株を購入し、割高株を売却するという戦略を実行している。このファンドの原動力となっているのが、Carhart 氏とIwanowski氏の二人だ。もともとこのファンドは後にApplied Quantitative Research(AQR)を創設するAsness氏が運用していたが、運用成績に応じた報酬を出してほしいとの願いが認められなかったために、チームのほとんどを引き連れて独立したという経緯がある。この二人は数少ない残留組だ。現在両者はゴールドマン社内でもトップグラスの給与を得ていると見られている。
    AQRに関しては以前書いたhttp://d.hatena.ne.jp/ichiyu/20050607/p2を参照。ゴールドマン・サックスクオンツと言えば、この前読んだ「物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進」(ASIN:4492653600)のダーマン博士もそうだ。さっき知ったが、フィッシャー・ブラックに関する書籍が発売されているようだ。「金融工学者フィッシャー・ブラック」(ASIN:482224511X)