20060309

  • スイスとの国境沿いにあるフランスの町で、イスラム教徒が抗議行動を起こした。この町でヴォルテールの作品(Fanaticism, or Mahomet the Prophet)の上演があったためだ。この作品はマホメットを侮辱しているとしてイスラム教徒が中止を求めていた。市長は表現の自由を尊重して上演を強行し、衝突事件が発生している。啓蒙主義の代表としてヴォルテールは最近、言及されることが多い。欧州の基盤とも言える宗教の世俗化と表現の自由ヴォルテールに依っている部分が大きいためだ。ヴォルテールは生前はキリスト教会からの反発を買い、それが現在ではイスラム教徒に変わっただけとの指摘もある。
    「私はあなたの意見に何一つ賛成できないが、あなたがそれを言う権利は命がけで守るつもりだ」というヴォルテールの有名な言葉は、死後に執筆された伝記の中で作家が作り上げたものらしい。同じような趣旨のことは本人が発言しているらしいが。同じくイスラム教徒の抗議を受けたものとしてこれも記事で取り上げられていた。
  • ウィスコンシン州アメリ朝鮮人参(ginseng)の有名な産地である。そのため高値で取引されており、アジアからの注文も多かった。しかし最近は自動車業界と同じように外国産に押されている。カナダや中国などの安い人参が市場に流通しており、ウィスコンシンでも廃業する人が多い。ブランドを守るために販売店を訪問しては、売られている人参がラベル通りにウィスコンシンで生産されたものかどうか調査している。ただ簡単に判断することはできないので小売店では知らず知らずのうちに偽物が出回ることになる。
    アメリ朝鮮人参というのもおかしな訳だが、ginseng自体が朝鮮人参という意味みたいなので(リーダーズ英和辞典による)、このようにしてみた。
  • Verizon Commucationsはブロードバンド化に向けて大胆な計画を進めている。家庭に光ファイバーを敷設しようとしているのだ。そのために多額の投資を行っている。反対にAT&Tは家庭にまでファイバーを敷設するのではなく、近所の施設までファイバーを敷設し、それ以降は従来の電話線を利用するという低コストな方式を採用している。この違いが株価にも現れている。AT&Tの株価が上昇しているのに対して、Verizonは下落している。 Verizonはファイバー計画に集中しているため、AT&Tのような大規模な買収も行ってこなかった。多額の設備投資資金をファイナンスするにはVerizon Wirelessが大きな意味を持つが、これはVodafoneとの合弁であり、経営の柔軟性に欠ける。Vodafoneの持ち分を買収しようにも交渉は難航している。Verizonが苦労してまでファイバー化を進めるのは圧倒的に早いスピードを武器に顧客を獲得するためである。ただサービスを導入した地域でもケーブルテレビ会社の攻勢もあり、なかなか思うようには顧客を獲得することができない状況にある。ファイバー敷設においては地元との調整や、工事の際の事故も発生している。

  • GMの苦境の原因は年金や健康保険の負担だけではない。マーケティングのまずさも大きな原因であった。デトロイトにある本社幹部が全米のマーケティング活動を仕切っていたために、地域ごとの市場特性に応じた営業活動を行うことができなかった。その失敗の代表例がマイアミである。マイアミではGMの車はあまり見かけない。トヨタやフォードが市場をシェアを握っているのだ。原因はヒスパニック人口が増えているにもかかわらず、ライバルに比べてヒスパニックへのマーケティングを開始したのが大幅に遅れたためである。現地のディーラーも本社に頼らずに自分たちで独自の宣伝を行うおうとしたものの、本社により止められた。本社に様々な要望を出しても上層部に届くことさえ難しかったのだ。最近は本社の行動も変わりつつあり、マイアミでの売れ行きも改善し始めている。