20060125

以下の記事を読んだ。今日の起床は6時30分

  • ディズニーがPixarを買収することになった。この取引が実現するのにPixarの幹部であるジョン・ラセター(John Lasseter)氏が大きな役割を果たしている。Pixarスティーブ・ジョブズ氏が過半数以上の株式を保有しているものの、ラセター氏の賛意がなければ実現しなかったとされる。同氏はディズニーの元社員であり、今後はディズニーのアニメ部門の責任者に就任するほか、テーマパークにも関わることになる。Pixarとディズニーのアニメーター達は両方とも今後の方向性に関して懸念を有しており、それをなだめるのが同氏の大きな仕事になりそうだ。同氏が Pixarをディズニーに売却することに同意したのは、Pixarの作品の続編を制作する権利をディズニーが保有していることが大きかった。すでにディズニーではPixarとの契約切れを念頭に、自社のみでトイ・ストーリー3の企画を進めていた。同氏にとっては自らデザインしたキャラクター達は子供同然であり、自分の手の届かないところで使われることには耐えられなかったようだ。
    ピクサーの優れた点はCG技術ではなくストーリーのうまさだと思う。映画の王道を進んでいるような印象を受ける。この点にラセター氏は大きく貢献しているようだ。
  • 現在、次世代DVDの標準争いが進んでいる。ブルーレイとHV-DVDとの間の争いだ。昔のビデオカセットにおける規格争いではベータマックスを破ってVHSが勝利することになった。これが優れた技術を有するベータ陣営が劣った技術を有するVHS陣営に敗れたと見る向きもあるが、実際にベータ側が優れていた技術は消費者の多くには関係がなかったと考えられている。決定的な勝利要因は録画時間の長さであった。ベータよりも大きなカセットサイズはソニーにとっては技術的に遅れているというように映ったが、カセットの大きさがテープの収納力を増すことになった。この点はベータがいかにがんばっても克服できない問題であった。ネットワーク外部性という経済用語が存在しなかった当時、ソニーは不必要に規格争いを続け多くの損失を抱えることになった。当時のソニーと同じく、次世代DVDの勝利者が確定するのは、敗者側が自社規格を高らかに謳う広告を出すときだろう。
    カセットの大きさが決定的要因だったとは知らなかった。
  • 昨年はベンチャーキャピタルがバックアップしたベンチャー企業IPOが前年に比較して下落している。またIPOを行った企業の時価総額は大きくなっており、創業からの期間は長くなっている。これらは一時的な現象かもしれないが、ベンチャー企業IPOには逆風が吹いている。まずリサーチアナリストの数が減少していることだ。ウォール街ではここ数年間でアナリストが3割以上も減少している。利益相反事件でアナリストは投資銀行業務の援護をすることができなくなったために、アナリストを抱えるコストが負担になっているのだ。アナリストは出来高が多い大企業の株式を中心にカバーする傾向がある。売買手数料が稼げるためだ。そのため出来高が期待できないベンチャー企業をカバーするアナリストは少なくなってしまう。カバーされないと投資家の関心を集めることもできない。投資信託ヘッジファンドの運用規模の巨大化も、投資する銘柄数の増加を嫌うマネージャーにとっては大企業中心の投資になってしまうという結果をもたらしている。ベンチャー企業IPOを行いにくくなっていることは成長力をそぐことにもなりかねない。ベンチャーキャピタルも出口戦略としてIPOよりもM&Aや買収を念頭に置くようになってきた。
    Googleみたいにじっくり成長するまで待つのがこれからのIPOのスタイルか。日本では逆の方向に進んでいるような気もするが。
  • 台湾最大の半導体設計会社であるMediaTekは大成功を収めている。同社の株価は昨年倍以上に上昇していた。90年代中盤に創業したが自社では工場を所有しないファブレス経営を行ったために高い利益率を実現していた。CD-ROMドライブのチップでは高いシェアを有している。しかし最近では同じような戦略をとる企業が相次いで登場し、同社も新しい市場に積極的に進出している。新規事業の中には携帯電話の半導体があった。この事業は高い成長を実現していたが最近になって悪いニュースが相次ぎ、株価は急落している。中国市場に携帯電話事業は大きく依存していたが、中国政府の政策により需要が減少すると見られている。またアナリストの格下げも相次いだ。しかし株価が下落したために魅力的だと見る投資家もいる。業績の悪化は一時的なものであり、LCDやDVD関連の新事業が成長を支えると考えているのだ。

  • 夫婦二人で商売を大きく育て上げるという話はよく聞くが、実際にうまくいくケースはかなり少ない。5%程度しか実際には成功しないという。ただでさえ米国では離婚率が高いので、夫婦が一緒にいる時間を増やすのは一層衝突の可能性を高めるだけになる。仕事における衝突が最悪の場合は離婚につながることもある。また二人の給与を同じ会社から受け取ることになるので経済面でもあまり良い考えではない。

  • 中国は偽造品生産大国である。自動車部品から薬品まで様々な偽造品が生産されている。多くの外国企業が対策に乗り出しているが、ファイザーの取り組みを見ると、中国で捜査当局と共同で偽造品の摘発を行うには難しい舵取りが必要であることがわかる。今までは偽造薬品は発展途上国に限定された問題であった。しかし現在は米国市場にも流入しており、生産地として大きく浮上しているのが中国である。すでに全世界の薬品市場の1割程度が偽造品との推定もある。昔の偽造品は有効成分がほとんど入っていなかったが、現在の偽造品は本物とほぼ同じ成分が含まれている。流通システムも管理されており、アマチュアの仕事ではないのだ。ファイザーも中国ではバイアグラの偽造品には悩まされており、独自に元捜査官などを起用して調査を行っていた。有力な情報を中国の捜査当局に通報してもなかなか行動には結びつかなかった。昨年秋になってようやく当局も大規模な摘発に乗り出すことになる。バイアグラは中国では特許の有効性が現在裁判で争われており、偽造品で捕まった容疑者も特許を取得してないために偽造品を生産しても問題ないとの主張を行っている。
    1割近くが偽造品というのがすごい。業界団体の推定だけに被害を大きく見せようとしているのかもしれないが。
  • 多くのセレブ達が株式銘柄の推奨を行っている。元野球選手やプレイボーイに登場するプレイメイトなどである。彼らの推奨する銘柄は結構保守的なものが多く、WSJBarron’sに登場するアナリストやFPの推奨銘柄とほとんど区別がつかないほどだ。プレイボーイとTradingmarkets.comは共同で株式コンテストを行っており、プレイメイト達が銘柄を選択して優勝賞金を争っているのだが、現時点でのトップのカバーガールはほとんどの投資信託の運用成績を上回る成績を上げている。このような現象が示すのは株式市場が効率的になりすぎてしまい、なかなかプロといえども高い投資収益を上げることができなくなったという点である。
    関連記事:http://online.wsj.com/article/SB113781324636252762.html(Bid & Offer)

Bid & Offerというコラムはウォール街の小ネタが集められたもの。東証でのシステム障害に関連して、Nasdaqの過去のシステム障害を紹介している。リスが配線をかじってしまいシステムがダウンしたそうだ。