20060120

以下の記事を読んだ。6時30分起床。

  • ディズニーがPixarを買収する交渉を行っている。早ければ来週にも発表される可能性がある。アニメ分野では大きな地位を占めていたディズニーが Pixarを買収しようとしているのは、この両社の関係が10年程度で逆転したことを物語っている。10年前はフルCGのアニメの将来性ははっきりしておらず、手書きアニメが全盛であった。しかし現在ではPixarDreamWorksなどのスタジオがフルCGアニメで強力な地位を築いている。ディズニーも遅ればせながらフルCGアニメの分野に参入したものの、移行には苦労している。そのためディズニーにとってはPixarを買収してアニメ部門のてこ入れを行いたいのだ。しかし金額が大きいだけにリスクも高い。CEOのIger氏にとっては自らのキャリアを大きく賭けるM&Aとなる。買収に成功してもPixarとディズニーの企業文化を融合できるのか問題もある。スケジュールにまくし立てられることなく、Pixarはゆっくりとしたペースで作品を制作しておりディズニー傘下に入ると今までのようなのんびりしたペースは許されなくなる可能性もある。

  • 聴診器の世界の技術革新の紹介。19世紀に誕生した聴診器であるが、当初のアコースティックな聴診器から現在は電気式の聴診器に移行しつつある。年々病院の中の騒音が大きくなっており聴診器で診察する際に、患者が発する音をとらえきれなくなっている。そのため業界リーダーである3Mを始め、聴診器メーカーはうるさい環境の中でも正確な診断が行えるように新しい聴診器の開発を進めている。聴診器は医師がそれぞれ好みのものを購入するために病院で一括納入することは難しい。

  • アウトソーシングと言えば、人件費の安い発展途上国への職の流出というイメージが大きい。しかし現在のアウトソーシングはこのような「給与の裁定取引」と言えるような範疇を超えつつある。単なるコスト削減を目的としたアウトソーシングではなく、transformational outsourcingと呼ばれるようなアウトソーシングへ移行しつつあるのだ。これはコスト削減を主眼としたものではなく、いかに自社の経営資源を有効活用して新商品の開発・顧客サービスの向上などを図るかといったものである。大企業から中小企業まで多くの企業がこのような手法を利用して競争力を高めている。このような攻めのアウトソーシングによる企業は単に米国内の人員を削減するのではなく、企業の成長を通じて雇用拡大にさえ貢献できる。
    今週のBusiness Weekのカバーストーリー。グローバルなアウトソーシングという点では戦争請負会社も同じだ。しかし、企業のあらゆる業務が外注化することができるとなると、企業の中核が何になるのか疑問に思う。リスクを取る資本こそが企業の本質になるのかと考えてみたり。
  • ライブドアショックを受けて東京株式市場が急落したが、木曜日には急反発した。これは投資家の強気姿勢が変わらないことを示している。多くの外国人投資家は引き続き日本株には強気姿勢を維持している。ファンダメンタルには変化はないと見ているためだ。不良債権の処理が終了したことや企業のリストラにより昔に比較して企業の体力が向上していることも好材料である。また円が過小評価されていることも外国人投資家には魅力的な材料である。期待される円高により日本株での投資収益がかさ上げされるためだ。デイトレーダーは今回の急落局面では痛手を受けたが、今後は外国人よりも日本国内の機関投資家個人投資家が市場での存在感を高めると見る向きもある。
    NYSEの注文処理能力は通常上限の1割程度しか利用されていないらしい。全然余裕だ。長年市場が低迷して出来高も少なかったために東証の処理能力の拡充が遅れたのだろう。会員である証券会社の体力も相当低下していたと思うので設備投資にも消極的だったのではないか。
  • 中国の産業機械業界に注目が集まっている。中国国内の鉄鋼価格が供給過剰を受けて急落しているために製造コストが低下している。加えて、中国国内の大型開発案件も目白押しであり、機械需要も今後高い成長を遂げると見られている。大型開発案件としては北京五輪、上海万博、鉄道網の再整備、内陸部の開発などが挙げられるる。また内需だけではなく輸出も好調だ。先進国の競合企業と比較して価格が安いためだ。政府も産業機械の輸出振興に力を注いでいる。リスクとしては元の切り上げが輸出市場に与える影響があるが、元の切り上げは原材料の輸入価格の下落にもつながるためにそれほど大きなインパクトはないと見られている。

  • インターネットのトップレベルドメインは米国主導で決められている。非営利団体であるIcannが商務省の監督の下に活動しており、米国政府の関与が大きすぎるとの批判も最近は大きくなってきた。というのも英語を使わないネットユーザーが増加してきたのにIcannは多言語への取り組みが遅いと見られているためだ。またブッシュ政権への批判も根底にはある。そこで世界各地で発生しているのがネットの分裂化現象である。分裂化が進むと同じURLを使ってどこでも同じサイトにアクセスできるというネットの利点が損なわれてしまう。中国やアラブ諸国では国内でしか利用できない中国語やアラビア語ドメインも提供している。ドイツではIcannが管理するルートサーバーとは別にORSNという団体が独自にルートサーバーを管理している。現在はこの二つは同一のものだが、Icannが行った修正にORSNが応じないことも将来はあり得る。Icannの関係者もORSNに関わっており、Icann内部にも波紋が広がった。対抗できるシステムが提供されているほうがIcannにも良い刺激になるという考えらしい。