経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには

読了。最後のほうは所得格差に関する議論。近年所得の不平等が拡大していると人々は感じているものの、それは予想による部分が大きく、実際には拡大しているという事実はあまり見当たらないようだ。
世帯間の所得格差が拡大しているように見えても、それは世帯構成の変化による可能性も高い。たとえば両親・本人・子供の3世代が同居しており、それぞれが所得を得ているとする。もし子供の所得が向上して一人暮らしを始めたとする。そうすると実際には所得が増加しているにも関わらず、所得格差が拡大したように見えてしまう。
日本でも小さい政府(政府による所得再配分機能を制限する立場)への支持が集まっている。小泉政権による構造改革も小さな政府を実現するための方法だろう。しかし先進国の中では既に日本は小さな政府に入るようだ。また所得税の税率も低い。所得格差があっても、階層間の流動性の高い社会(米国など)では現在の格差自体はあまり問題にならない。しかし流動性が低い社会(日本も入るか?)では階層が固定化する可能性も高く、所得配分機能の向上が必要と主張しているようだ。