20051130

以下の記事を読んだ。昨日の積み残しも含む。今日のWSJのGetting Goingではかなり珍しいことなのだが日本株への投資を薦めていた。ホットな市場やセクターへの投資を控えさせる記事は多いのだが、逆のパターンは珍しい。

  • 犯罪者の家族は経済的・心理的に様々な負担を背負うことになる。90年代後半以降はホワイトカラー犯罪が増加したために、ホワイトカラーの家族の間でも同様の苦しみを感じるようになってきた。この記事ではFBIのエージェントに金を渡して情報を受け取って、その情報を元に空売りを行っていたAnthony Elgindyという株式トレーダーとその家族が紹介されている。有罪判決を受けているものの、まだ量刑は下されていない。豪邸に住んでいたものの、手放すことになり、父親の逮捕というショックで精神的に障害を抱えてしまった子供の治療費も出せない状況になっている。政府は罰金の支払を担保するために判決の前に銀行口座を差し押さえてしまっているので自由に資金を引き出せない状況だ。
    WSJのPage Oneでよく見かけるタイプの記事。
  • 米国の格安航空会社であるSouthwestは来年よりデンバー路線を就航させる。この動きは同社にとっては珍しい。というのもデンバーは空港使用料が高いためだ。最近はかなり値下げしているが、それでも同社が利用する他の空港よりも高い水準にある。同社の今までの戦略は徹底した低価格であった。そのために利用料の高い空港ではなく、場所的には悪くても安い空港を利用していた。デンバー路線を開設するにあたって同社は今までよりも短い準備期間しか設けていない。デンバーではフロンティア航空とユナイテッド航空が高いシェアを有しており、そこに同社が食い込めるのかが注目される。同社は今まではサービスを極力省いて低価格を実現していたが、最近は他社でも同じような戦略を進めている。また大手航空会社も破産法適用の下で人件費を大きく下げている。しかも同社は今まで低価格のころに行った燃料費のヘッジが大きく利益に貢献しているが、それももうすぐ効果がなくなる。このような状況で同社と他社のコスト格差はかなり縮まっている。すでにデンバー路線では他の2社は同社が提示した低価格に対抗して同じ価格にまで引き下げている。よりサービスが充実していることやマイレージ特典などを考慮すると既存顧客を奪い取るのは難しそうである。しかし同社は低価格で利益を出すことができるため体力に劣る他社がついて行けなくなる状況を待っているようだ。

  • 雑誌プレイボーイで有名なPlayboy Enterprisesの株価が今年夏の安値から急上昇している。すでに7割以上の上昇を見せている。債務リストラという好材料もあるが、同社が進めている戦略を投資家は好感しているのだ。同社の主力事業は雑誌だが、広告の伸び悩みに加えてコストの上昇により赤字が続いている。新しい戦略では雑誌は他の事業への広告塔としての役割を果たすことになる。他の事業とはエンターテイメントやライセンス商品の販売である。エンターテイメントではタイムワーナーやコムキャストと提携したことで大手ケーブルテレビ会社ではすべて同社のテレビ番組をオンデマンド方式で見ることができるようになった。ライセンス商品とは、同社のキャラクターを外部企業に提供してライターやランジェリーなどをプレイボーイのショップで販売してもらう事業を指す。この事業は規模はまだ小さいものの利益率は非常に高い。雑誌では海外版を増加し、エンターテイメントではクラブの開発、ショップの開店などを進めるが、いずれもコストを負担せずにロイヤリティーだけを徴収する方式を取る。同社の株価はすでに来年度の利益ではPER20倍程度にまで買われており、創業者が自社株買いを進めている好材料もあるがここから上昇するのは難しいとのアナリストは指摘している。
    プレイボーイのCEOは女性というのが面白い。創業者ヒュー・ヘフナーの娘だそうだ。イメージに反し企業規模は小さい。米国株の仕事をしていたときにFurman Selzという証券会社が熱心にレポートを書いていたのを思い出す。
  • フィリピンペソが上昇基調にある。通常ペソはクリスマス付近には上昇する傾向がある。海外に多くの出稼ぎ労働者が存在し、彼らが母国に送金するためだ。しかしクリスマスを過ぎても今回の上昇相場は続くと主張するアナリストもいる。というのも裁判で争われていた付加価値税の問題が解決し、今月末より今までの付加価値税に含まれていた様々な適用除外が無くなる。そして来年2月には付加価値税の税率が引き上げられる予定となっており、税収が増加し、財政の安定性が増すとの期待感が強いためだ。そのため海外からフィリピンの国債や株式に資金が流入している。特にグローバル投資家は少しでも良い利回りを求めて世界中を探し回っており、この流れの恩恵も受けている。しかし否定的な見方のアナリストもいる。フィリピンの国債残高が引き続き高水準であることや、電子部品の成長により他のアジア諸国の成長期通しが明るい中でフィリピンは見劣りすると指摘している。

  • シンガーソングライターがカタログを売却する際に得た収入を、通常の所得ではなくキャピタルゲインとして課税することにする条項が、現在連邦議会で審議が行われている税法の法案に入っている。法案として成立するかどうかはまだ不明。これはカントリーシンガー達の運動の成果である。キャピタルゲイン課税の対象になるのはカタログ販売の場合のみであり、印税収入は通常の所得として引き続き課税される。シンガーソングライターは自営であることが多く、ヒット曲がでるかどうかにより収入が変動しやすい。カタログ販売で得た収入を通常の所得として課税されることは一時期だけかなり高い税率となってしまい不公平だというのがシンガーソングライターの言い分である。運動はカントリーのシンガーソングライターが中心で行われているが、対象となるのはすべてのジャンルのシンガーソングライターとなる。
    カタログの販売というのがよく分からないが、楽曲から得る利益すべてを売却するようなイメージかな。
  • コールセンターの仕事はオフショアに流出しているが、一方で在宅勤務のコールセンターも増加している。全米で10万人以上が在宅でコールセンター業務を請け負っていると見られている。オフショアのコールセンターは安いものの、顧客サービスがあまり芳しくなく、在宅勤務のコールセンターの人気が高まっている。通常のコールセンターではスタッフの平均年齢は低く離職率も極めて高い。しかし在宅勤務の場合は平均年齢も高く、経験が豊富であり離職率も低い。ベビーブーマーなどが柔軟なワークスタイルを求めて在宅勤務のコールセンターという仕事を引き受けているのだ。需要にあわせて柔軟にキャパシティーを変化できるために、顧客企業もバックアップとしても有効活用できると見ている。ネット回線の向上も在宅コールセンター増加の背景にある。
    日本にも同様のサービスはあったと思う。
  • Red Envelopeというオンラインショップのクリスマス商戦は月曜日から本格モードに入った。同社は自社でデザインした商品を幅広く取りそろえており第4 四半期の売上は全体の半分近くに達する。そのためクリスマスシーズンは極めて大事な時期だ。今年のクリスマス商戦に備えて同社は1月から計画を練り始めていた。コールセンターの拡充や商品ラインアップ、コンピュータのバックアップのテストなど様々な課題をこなしてきた。最近はCEOは午前5時あたりからすでに仕事を始めており、社員も早朝ミーティングで最後の準備に向けて問題点を洗い出している。

  • イラクに派遣される心理カウンセラーの数が増加している。PTSDなどの精神障害に苦しむ兵士を支援するためだ。ベトナム戦争のころと異なり、同じ兵士が何度も戦場に送り込まれるためにこのような精神障害を完治することが難しくなっている。徴兵制ではなく志願兵に制度が変更になっているため兵士の数が少ないことが背景にある。そのため戦場で精神障害を克服し再び戦える状態に戻すのが心理カウンセラーの大きな任務となっている。しかし常に危険と隣り合わせの戦場においては満足な治療を施すのも難しいようだ。
    戦場でPTSDになる兵士の話はCBSドキュメントでも取り上げられていた。