20051128

以下の記事を読んだ。

  • ブログで稼ぐブロガーが増加している。企業が魅力的な広告媒体であることを認知し始めたためだ。企業に雇われて記事を書いたり、企業へのリンクをエントリーに掲載したりするケースが多い。しかし企業との関係を開示しない場合には、ブロガーから批判を受けることもある。多くのブロガーは金を稼ぐところまではいっておらず、稼いだとしてもサーバーの維持費用程度である。企業に雇われて記事を書く以外では、アドセンスのような広告をブログに掲載したり、リンクシェアにようなアフリエイトサービスを利用して商品を販売するというビジネスを行うことが多い。
    利益相反関係の開示に関してはブロガーはうるさいようだ。
  • 生徒の中でもブログを行う者は増加しており、ブログに掲載した内容により謹慎処分などの罰を受ける場合も出ている。中には生徒によるブログを禁止している学校もある。ブログの内容で処分を受けた生徒の中には、表現の自由が侵害されたとして裁判に訴えるケースもある。しかし判決はまちまちで一貫した司法判断はまだ生まれていないようだ。
    はてなでも中高生のダイアリーは多そうだが、校則による規制はあるのかな。
  • フランスの保険会社であるAxaが今までにない形の証券を発行する。同社が引き受けた自動車保険の損失が一定額以上になった場合には損失を負担するものの、同社が得た自動車保険の保険料を受け取ることができるというものだ。あいにくフランスでは先ほどの暴動で自動車が焼き討ちにあっているが、今回の暴動が与える影響はほとんどないと見られている。この証券はS&Pが格付けを提供しており信用リスクに応じて3つのトランシェに分かれる。保険会社の株主にとって大きな関心事なのが、このような形で引き受けリスクを外部投資家に移転した場合に、責任準備金をどの程度保持すればよいのかという点だ。規制により一定額以上の責任準備金を保持しなくてはならないが、当局はこのような証券の発行によりリスクが減少すれば最低責任準備金を引き下げる可能性がある。そうなると浮いた資金を別の分野に投資できることになるのだ。

  • 今まではソフトウェアのベータ版といえば、ごく限られたユーザーに限定して提供されるものであった。しかし最近ではベータ版の提供は多くのユーザに行われるようになり、プレスリリースの発表や大規模なイベントまで開催されている。一種のマーケティングツールとして利用されているのだ。ネットの普及によりソフトウェアの配布が容易になったことや、webアプリケーションの普及でサーバーのコードを入れ替えるだけでよいということが背景にある。また長期間ベータ版として提供し続ける場合もある。たとえばGoogle Newsは2年以上ベータ版となっている。しかし長期間ベータとして提供するのには批判の声もある。ベータということで品質が劣ることに対するいいわけとなっていると見ているのだ。
    google newsがまだベータ版なのは、正式版にして広告を載せるとニュースサイトからクレームが来る可能性があるためだと聞いたことがある。
  • 経済学の本としてはベストセラーになったものとして、Freakonomicsという本がある。若手経済学者では高く評価されているSteven Levitt氏が執筆している。この本では相撲の八百長に至るまでの様々な問題を経済学の観点で分析している。この本には70年代に中絶が合法化されたことが、90年代の犯罪の現象につながったとの物議を醸し出す主張も含まれている。中絶を行うことができなければ望まない子供が増えることになり、このような子供が成長して犯罪予備軍になるという。この主張に異議を唱えたのがボストン連銀のエコノミストのFoote氏だ。同氏はLevitt氏の統計処理方法には不備があり、中絶と犯罪の現象にはつながりは見つけられないと主張している。Levitt氏は反論を行っている。またFoote氏以外にも保守派からも批判を受けている。同氏は経済学に注目を集めるきっかけを作ったとして学界でも高く評価する声もあるが、経済学を貶めているとの批判もあり評価は分かれている。
    問題となっているのはこの本。
    Freakonomics: A Rogue Economist Explores the Hidden Side of Everything

    Freakonomics: A Rogue Economist Explores the Hidden Side of Everything

    今年の5月に出たばかりなのでまだ翻訳は出ていないようだ。
  • 日本の家電メーカーである船井電機の株価が11月に入って急騰している。三洋電機が急落しているのとは対照的である。船井電機は日本の電気機器メーカーの中でもコスト削減に徹底的に取り組んでおり、価格競争が厳しい家電業界でも生き残れる企業の一つだと見られている。また三洋電機の苦境は同社にとってプラスになるかもしれない。今まで同社は他社が事業を撤退した後に、OEM供給という形で製品を提供することがあったためだ。OEM売上は全体の半分程度を占める。同社の製品は技術的に最新鋭というわけではない。デジタルカメラやDVDレコーダーでさえ昨年までは手がけていなかったのだ。同社は99%以上海外で生産しており、その中でも7割以上が中国だ。同社はデジタル家電業界に進出しつつあるが、今までアナログ家電で成功してきたようにうまくいくのか疑問視する声もある。特に液晶テレビは競争が厳しいためだ。同社は今までは価格競争の影響を比較的受けなかったものの最近は業績の下方修正も行っており、完全に無縁というわけではない。

  • 大統領経済諮問委員会(Council of Economic Advisers)を始めとする政府のエコノミストのポストに空きが目立っている。これは経済学者の間でのブッシュ離れが進んでいることを示している。ミクロ経済のエコノミストには共和党員が多いものの、マクロ経済には民主党員が多いとの事情もある。共和党員のエコノミストは多いものの、ブッシュ政権での財政赤字の急膨張には不快感を示す向きが多い。また長期化するイラク戦争がブッシュに対する反発を招いているとの指摘もある。一度政府の中に入って大統領のスポークスマンのような役割を果たしてしまうと、大学に戻った際に軽蔑されるという懸念もエコノミストの中には多いようだ。