ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

最初のほうは抽象的な記述が続き、どうかなあと思っていたがどんどん面白くなってきた。googleがやろうとしていることはネット上(現在ではネットにとどまらないが)にある知識の正規化を行い、検索できるようにすることだと考えていた。しかしこれは検索における二つの問題の一方でしかないことが分かる。本当に難しいのは、検索を行うユーザーの意図を読み取ることなのだ。しかもユーザーは不精なので多くのキーワードを入力しようとはしない。そのため少ない情報から解釈しなくてはならないのだ。googleがパーソナラズドページを導入しているのも、ユーザーの意図をできる限り効率的に解釈しようとしているためだろう。しかしどのような情報を検索し、どのようなサイトにアクセスしたのか同社が情報を抱え込むことは漠然とした不安もある。この本で引用されている調査では検索では1割以上が健全なドキュメントとはいえないものを求めているという。爆弾の作り方なんて情報を検索していると事件があった場合にすぐに目をつけられそうだ。日本ではどうか分からないが米国では愛国者法が制定されて、当局は企業に情報提供を命じることができる。しかも当局に情報を提供したという事実をユーザーに開示できない。プライバシーを重視する米国がこのような法律をよく制定できたなと思うが、同時多発テロでヒステリー状態になっていたのかもしれない。
Google創業の舞台裏も興味深い。スタンフォード大学のプロジェクトとして始めたがすぐに大学のネットの帯域幅の半分以上を占有してしまったらしい。ネット上のドキュメントはどんどん増加していくのでコンピュータのリソースの調達にもかなりてこずったようだ。googlebotがページをダウンロードしていくのが、サイトの負担になるため、サイト運営者のクレームも殺到したり、ページランクという一見傲慢な試みに反発を買ったり、いろいろ大変だったみたいだ。
最初、ラリー・ペイジセルゲイ・ブリンの二人はgoogleのテクノロジーのライセンスを販売しようとしたもののポータルサイトでは検索機能が低く見られていたために難航するという状況も現状と対比してみると興味深い。
最初Yahoo!のようなディレクトリ構造のポータルサイトが普及したのは、ネットユーザー自身がネット上にどのような情報があるのか分からなかったためだという指摘。しかしユーザーの考え方が変化し、ネット上に情報があるはずだという確信を持つようになっていたことが検索機能の需要に結びついたという。