20051028

以下の記事を読んだ。今日は5時40分ごろに起床。

  • 好況に沸く石油業界だが、有り余る現金を持ってしても解決できない問題に直面している。掘削装置などを始めとする設備や人材が足りないのだ。そのため新規油田を開発しようにもできない状況になっている。特に人材不足が厳しい。過去の不況時に多くの人材を解雇したためにエンジニアの数が急減している。さらに悪いことに平均年齢も上昇しており、将来の退職時には補充しなくてはならない。しかし石油関連の技術を教える大学から卒業する学生の数も減少しており人材確保が難しい。不況により大量に解雇を行う業界だけに学生にとってもあまり魅力的には映らないようだ。
    学生にとっては短期的には石油関連の学科は魅力的かもしれないが、将来的にはどうなのか。そう考えると志望者が急増することは予想しにくい。
  • トルコとアルメニアの間には100年近く前に発生した虐殺(genocide)に関する論争がある。アルメニアは虐殺と主張しているのだが、トルコはこれを否定している。この問題はトルコがEUに加盟する際の障害にもなっている。しかし米国はトルコが軍事上の重要な同盟国であることからこの問題に関しては口をつぐんでいる。マサチューセッツ州では人権侵害の様々な事件を道徳の時間に教えることになっており、当局は教育のためのガイドラインを定めることが法律により義務づけられている。ここにアルメニアの虐殺の問題が登場し、ガイドラインにはアルメニアの主張に沿った情報源しか掲載されておらず、トルコ側の主張に沿った情報源は原案から削除されてしまった。この削除が表現の自由を侵害していると米国のトルコ人達が当局を訴えるという行動に出ている。

    genocideはある人種や民族、宗教を根絶させるために大規模に行われる殺戮の意味らしい。エスニック・クレンジングも似た意味かもしれない。
  • マルボロバージニアスリムなどのたばこで有名なフィリップ・モリスがヘルスケア業界に進出しようとしている。きっかけとなったのは安全なたばこを開発する過程で築き上げた吸入器の技術である。同社が開発した吸入器を利用すると、薬品を効率的に肺に送り込み、血中に浸透させることができるという。しかしたばこ会社が関わっているだけに医療関係者の中でも不信感が強い。医学雑誌や業界セミナーでもたばこ会社が関わっているという理由で論文の掲載や出展を拒否されている。同社の吸入器は既存の吸入器よりも効率的に薬品を血中に送り込むことができる。この分野はこれから大きく成長するとの見方もある。まだFDA の認可を得ておらず、この吸入器の薬品を提供するパートナーもまだ見つかっていない。また効率的に薬品を体内に送り込むことができるために使う薬品によっては乱用の危険性もあるが、医者が電話で回数を制限する仕組みを導入して防止するという。
    ヘルスケアに進出するタバコ会社は同社に限ったことではなくJTもそうだ。
  • シティーグループが手薄な国内リテール部門の強化に乗り出す。先日のアナリストミーティングで明らかにされた。シティーグループは海外(特にメキシコ)では強力な存在だが、国内市場では存在感は薄い。支店数は1,000以下であり、バンカメの5,000以上と比較したら大きく見劣る。預金額も国内で第5位と小規模にとどまっている。同社は支店数を増加させることで国内リテールをてこ入れする予定だ。その場合、注目されるのが自力で支店を開店するか、それとも買収するかという点である。同社は相次ぐ不祥事を受けて、社内のコンプライアンス体制を整備するまでは大規模な買収をFRBより禁止されている。しかしどの程度が大規模なのかは不明確である。そのため小規模なら買収も考えられるが買収にもリスクがある。統合過程で顧客を逃がしてしまう可能性があるのだ。しかも地域金融機関の株価は買収期待で上昇しており、シティーグループの低迷する株価では買収の魅力に乏しい。そのため自力で支店数を増加させる可能性も高い。
    米国内ではそんなに存在感が薄いとは知らなかった。意外。
  • 映画業界ではデジタル化を望む声が大きい。劇場側としてはデジタルのほうがより画質が高いためDVDと比較して有利に働くとみているためだ。スタジオ側から見れば、フィルムを作成するコストと時間を節約することができ、海賊盤対策にもなるとみている。特殊な信号を映像の中に入れることでデジタルカメラで撮影した際に、画像をゆがめることができるためだ。しかし両者は移行コストを巡って対決している。一つのスクリーンをデジタル化するのに10万ドル以上と、現在の方式の10倍程度のコストがかかるためだ。しかもデジタル方式はプロジェクターやコンピュータで構成されるために、陳腐化の速度も速く、故障する可能性も高いという問題もある。そのためスタジオは移行策に関してコスト負担の巡ってインセンティブを提供しているものの、未だ大規模な導入には至っていない。
    映画の流通がデジタル化されてしまうと、映画館で見る必要性は薄くなってしまうのではないか。そのままビデオ・オン・デマンドにしてもおかしくない。デジカメで撮影すると画像がゆがんでしまうとはどのような仕組みなのだろう。
  • 企業がウォール街投資銀行に支払う手数料を集計した一覧表は業界関係者にとっては必読となっている。この一覧表の上位にある企業は多くのディールを行うことを示しており、営業の最重要顧客となるためだ。1位と2位はそれぞれGMとGEが占めているが、上位10社のうち7社はプライベート・エクイティファンドとなっている。近年、プライベート・エクイティファンドの存在感は急速に高まっている。そもそもこれらのファンドは会社を買収し、債券や株式を発行し、IPOさせて投資資金を回収するのが目的なので投資銀行にとっては極めて魅力的な取引を提供してくれる顧客になっている。そのため投資銀行は社内でも有能な人材をファンドの担当者に割り当てるようになった。ファンドも自らの影響力が高まっていることは充分承知しているので、投資銀行に対しても手数料の値引きを迫るようになっている。またこの力関係の変化のために、リスクが高い取引でも投資銀行による抑制が生じにくい状況になっている。

    この一覧表はいわゆるリーグ・テーブルのことかな。
  • 企業はマーケティング活動の一環として様々なスポーツイベントに参加している。その中でもF1は全世界の人が見る一大イベントである。タイヤメーカーのミシェランとブリジストンはF1のタイヤ供給の面で激しい火花を散らせている。ブリジストン1社で1年間に1億ドルもの資金を投じているのだ。両社との秘密の研究所でタイヤを開発しており、レースにも専任スタッフを送り込んでいる。使い終わったタイヤは情報漏えい防止のために直ちに破棄される。2社が様々なチームにタイヤを供給することによりF1の舞台で競争しているのだが、これがどの程度実際の商売に結びついているのかは疑問である。消費者はF1に関してはあまり気にしていないとの指摘もある。両社とももちろんこのような見方には反論しており、F1で培った技術や安全性は公道を走る車用のタイヤにも生かされ、ブランドの知名度の引き上げにつながるとしている。しかし今年発生したF1での事件は両社にとってリスクもあることを示している。ミシェランのタイヤはF1のレースでパンクになり、ミシェランを利用しているチームが全部キャンセルする事態になった。また別のレースではミハエル・シューマッハが自分が利用しているブリジストンのタイヤに対する不満を述べている。タイヤはレース結果に与える影響が大きく、最近行われたタイヤに関するルール改正が両社の勢力図にも影響を与えている。
    シューマッハは今年はチャンピオンではなかったのか。テレビ中継を見ないので全然知らなかった。WSJのサイトに掲載されている似顔絵はあまり似ていない。