20050929

以下の記事を読んだ。
・低迷を続ける欧州経済の中で、スペインの成長は著しい。失業率は10年前の20%から半分以下にまで低下している。この減少はスペインの奇跡と呼ばれるほどだ。この奇跡の背景には、スペインの労働市場の変化がある。半年程度の短期契約の労働者が急増しているのだ。全労働者の3割程度を占めている。このような短期労働者は賃金が低く、いつでも解雇でき、解雇しても退職金を払う必要がない。そのため雇用コストが大幅に低下している。しかし短期労働者は若年層に多く、手厚い保護や退職金で守られている中高年労働者との世代間格差を引き起こしている。また短期労働者には企業も大して投資を行わないために、生産性が低迷しているのではないかとの指摘もある。建設業でも多くが短期労働者であるが、これが近年の建設事故増加に関連しているのではないかとの指摘もある。

日本の状況にも似ていないこともない。


・今まで発展途上国が観光地としての地位を高めるには、最初は自然を売り物にして貧乏旅行のバックパッカーを招き入れ、徐々に高級観光地としての地位を築いていくというのが一般的であった。しかし最近ではこのやり方を逆転する国もある。ブータンセイシェル、ナムビアなどである。これらの国は大量に観光客を受け入れて自然破壊が進むことを避けるために、少数の富裕観光客を受け入れる戦略をとっている。ブータンではどこに泊まっても一日数百ドルの手数料を観光客から徴収している。一泊1000ドル以上する高級ホテルを建設している国もある。

luxury Safariという言葉が登場。高級サファリ?


Apple ComputerのiPod Nanoが引き起こすフラッシュメモリー相場の混乱。正確な価格は不明だが、Appleサムスン電子よりかなり安い価格でフラッシュメモリーを仕入れていると見られている。あまりにも調達量が多いために、フラッシュメモリーが品薄になっている。そのあおりで部材調達が困難になった他のMP3プレーヤーのメーカーの中には倒産するところも出ている。フラッシュメモリーの価格は需給逼迫で高くなっているものの、最終製品の価格は消費者の価格下落期待を受けて引き下げざるを得ない状況だ。また近年のフラッシュメモリーの価格下落は、1インチといった小型のハードディスクドライブを生産している企業にも影響を与えている。低容量ではフラッシュメモリーが割安になっているためだ。

既存のフラッシュメモリー型MP3プレーヤーのメーカーにとっては、調達困難と価格下落のダブルパンチだ。


・今年になって、中国にもコマーシャルペーパー(CP)市場が登場した。これは銀行融資が資金調達のほとんどを占める現状から、直接金融への移行を示す動きと見られる。今のところは大企業が中心で、銀行融資が圧縮されている様子はない。既存の資金調達手段を補完するものとして利用されている。潜在的には銀行融資を圧迫する可能性はあるが、今のところ、銀行は自らCPを購入している。預金があふれかえっている現在、他に有効な資産運用は限られているためだ。銀行融資と比較して低コストというのもメリット。株式による資金調達が厳しいことも背景にある。今度は小規模企業もCPを発行できるようになるのかが注目される。

コマーシャルペーパーとは中国語ではなんていうのだろう?手形?


・セレブのファッションを酷評するブログが人気を集めている。このブログの名前はGo Fug Yourselfといい(http://www.gofugyourself.com)、テクノラティが選出するトップブログ100にも入っている人気サイトだ。ブログに掲載する広告だけで月間3000ドル以上を稼いでいる。出版社との契約を行っている。このサイトはリアリティーTVのスタッフが余暇に作成しているもので、当初は仲間内で楽しむために作られたが、現在では標的となっているセレブ自体にもファンがいるという。人気ブログを更新するのは、かなり重圧もあり、ネタが見つからないときにはパニックになるという。作者は二人の女性で、ブログの文章には独自のルールがあるという。あくまでもセレブが公衆の面前に登場したときの服装をネタにするということと、批評はあくまでも服装に限り、人格などを批判しないことにしていることだという。

人気ブログを維持するのはかなりの苦労があるようだ。


・製造業に続き、法律事務の仕事もインドにアウトソースする動きが出ている。米国や英国の法律事務所が、契約書作成や特許申請書の作成などの法律事務をインドに外注するようになっている。もちろんメリットは大幅なコスト削減にある。インドはもともと英国の植民地だったため、法律も英国のコモンローに基づいている。そのためインドの弁護士は英国・米国の法体系になじんでいる。またインドでは弁護士は米国ほど高給の仕事とは見られていないために安い給与・待遇で雇うことができるという。加えて、インドでは毎年10万人単位で弁護士が誕生しており、米国を大幅に上回る。そのため人材が豊富に供給される。ただインドに外注する法律事務所はまだまだ少ない。様子見を決め込むところも多い。外注したインドの弁護士がミスをした場合の法的な責任がどうなるのかという問題を指摘するものもいる。もしインドへの外注が今後も増加すると、コスト低下のため企業はより一層訴訟を起こすようになるのではないかとの指摘も見られる。

言葉や法体系の違いから、日本の法律事務所には影響は少なそうだ。