20050512

以下の記事を読んだ。
・巨大化するプライベート・エクイティファンドの標的も巨大化しつつある。ファンドマネージャー投資銀行に対して大きな獲物を持ってくるように依頼しているのだ。ファンド間の競争が厳しくなる中、中小規模の企業では妥当な価格での投資が難しくなりつつある。そのため比較的競争が少ない巨大企業への投資を進めようとしているのだ。ただ債券市場も変動が大きくなる中、今までのように低金利で資金を調達できる保証はなくなりつつある。ファンドが巨大企業を標的にしつつあるのは、別の理由がある。様々な手数料が魅力的であるためだ。買収が完了すると買収価額の1%程度の手数料を徴収するのを始め、様々な名目の手数料を取ることができる。そのため投資が失敗しても運用会社は儲かってしまうこともある。高額な手数料を徴収するからといって、必ずしも投資先企業の経営建て直しに汗を流す必要があるとは限らない。先日行なわれたNeiman Marcusの買収では、既に業績が好調であるためにこれ以上の付加価値をつけるのは難しいと見られている。魅力的な買収案件が少ない中、あまりファンドが手出ししなかったハイテク企業への投資を行なう必要性も出てくるかもしれない。


・中国の国営通信会社である中国新聞社(China News Service)の記事が誤訳されて、為替相場を一時的に大混乱に陥れた事件の顛末。香港に駐在している記者が、専門外であるものの、金融担当の記者が休んでいたために人民元の切り上げ問題に関する記事を執筆したのがことの始まり。この記事は噂や憶測を紹介しただけのものだったが、人民日報が間違って政府発表であるかのように英訳してwebサイトに掲載してしまった。これをBloombergの検索ソフトウェアがキャッチし、自社のニュースとして世界中に流したのだ。人民日報のサイトに掲載されたことが信憑性を高める結果となった。このニュースで日本円をはじめとしてアジア通貨が上昇する一方、ドルが売られる展開となった。この騒ぎを見て、ロイターも裏を取ったところ、Bloombergのニュースに気付き、自社でも報道を行なった。この騒ぎは政府が否定コメントを出したことで落ち着き、相場も元の水準にまで戻った。否定コメントが出るまでもなく、専門家は切り上げ幅が断言されている点に疑問点を有しており、独自に裏を取ったところもあったようだ。


付加価値税(VAT)が今年4月より導入されたが、これが原因でインドの製薬会社の業績が悪化している。VAT導入前は州毎に売上税が導入されており、4 月末までに購入した在庫への税金の払い戻しがあるかどうか不安視する卸売り業者が今年の第一四半期の発注を大幅に削減したためだ。そのため製薬会社の業績は急激に悪化している。このようなVAT導入をめぐる混乱は製薬業界に限った事ではないが、最も影響を受けていると見られている。しかしこれは一時的なものであり、VAT導入の混乱が過ぎれば再び成長基調に戻るとアナリストは指摘している。株価パフォーマンスも良くないが、明らかに押し目買いを狙っている投資家も多く、急落した局面でも買いが入り反発するという展開になっている。VATは個々の企業の納税の事務作業が削減されるために業務の効率化が進むとの期待もある。



今日のWSJはなぜかA-hedが掲載されていなかった。