- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/07/06
- メディア: 文庫
- 購入: 22人 クリック: 380回
- この商品を含むブログ (186件) を見る
現代では百姓イコール農民と考えてしまうが、この本ではそんな単純な図式ではないことを主張している。百姓とは100の姓ということであり、本来は普通の人ぐらいの意味しかない。しかし日本の政治が律令制に始まり代々農地を基本にしてきたことが、百姓=農民であると後世の歴史学者を惑わせる結果になっているという。水呑とは土地を持たない百姓、つまり貧農と考えられていたがそれもそんな単純な見方では理解できないと指摘している。土地を持っていなくても船舶を多数所有して大規模な通商を行っている場合においても水呑とされていたためだ。
あと、商業の中心となる「市」が宗教上の意味を持っていたとの指摘も面白い。