コンテナ物語ーー世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

引き続き読書。
コンテナが当初登場した際には、規格なんてものは存在しなかった。各社まちまちのコンテナを利用していた。輸送量や手持ちの船の構造などを鑑みて、自社に最適なコンテナを設計して利用していたのだ。しかしこんな状況が放置されると、海運会社毎に異なるコンテナが存在するために、効率化のメリットを最大限に生かすことができなくなる。そのため米国政府は音頭を取って標準化に乗り出すのだが、当然のことながら各社、自社のコンテナを標準にしようとしてなかなか規格が決まらないことになる。
一方コンテナに脅威を感じたのが労働組合だ。港湾労働者はきつい仕事であるが故に仲間意識が非常に強い。古いしきたりを捨てることにも非常に抵抗していた。コンテナが作業の効率化を促すものである以上、港湾労働者の雇用を脅かすのは避けられない。そこで組合は機械化・自動化を進めようとする海運会社と衝突することになる。経済全体で進行する機械化によって職が脅かされたのは港湾労働者だけではない。しかし労働者にとっては例外的であるのだが、厳しい労使交渉の結果、港湾労働者は機械化によるコスト削減効果の恩恵を得ることができた。しかしコスト削減効果を労使双方共に過小評価していたために、組合側が得られる分け前も少ないことになってしまう。ただ労働者が勝利した希なケースであることには変わりはない。