赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由

赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由

赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由

読了。
「喪失と獲得」(ASIN:4314009683)の前半部分(この本の中でも一番難解だった箇所)を発展させたものだと思う。使われている図表も似ていた。

ケインズの鋭い言葉が巻末に載っていた。「人間は一人きりで長く考えすぎると、一時的にせよ、呆れるほど愚かしいことを信じられるものだ。」

意識というとらえどころがないものを考えるのは、雲を手でつかむようなものだと思う。このようなものをよく研究の対象にしようと考えたものだ。意識が存在するが故に、自らを特別な存在だと考えるようになるが、その結果、苦しみも生まれてしまう。昨日読んだ「現代語訳 般若心経」(ASIN:4480063196)を読むと、意識を持つことがそれほどすばらしいことなのか少し疑問も感じてしまう。もちろん意識がなければ苦しみも存在しないが、反対に喜びもない。なんとも殺風景な世界。