おしゃべりな宇宙―心や脳の問題から量子宇宙論まで

おしゃべりな宇宙―心や脳の問題から量子宇宙論まで

おしゃべりな宇宙―心や脳の問題から量子宇宙論まで

返却する前に、メモしておく。この本は少し(というかかなりというべきか)高いが買う価値はあったかもしれない。後で再び読みたくなりそうな気がしている。

  • THE MUSEUM of JURASSIC TECHNOLOGYという博物館がある。嘘か本当か分からないようなものを多数展示している。
  • 科学が私たちに教えてくれることがあるとしたら、それは1種類の証拠だけでは決して充分ではないということだ。
  • 電子はある方法で測定すれば粒子だけれども、もう一方の測定方法によると波である。波的な側面を見ようと思うと粒子を壊すことになり、粒子の側面を見ようとすれば波は台無しになる。自然はこうした二重性だらけだ。
  • 科学の歴史をずっと見てくると、そのすべてが人間に謙虚さを教える長い歴史だったように思われる。
  • 宇宙旅行にロマンチックな夢を抱く人々をおもしろがるアーティストがいる。だって僕らはとっくにその「宇宙」に住んでいるじゃないかというのが彼の言い分だ。私たちは1年で太陽を一周しているのだ。
  • 常識的な世界なんてのは本当の世界じゃないんだ。そんなものはしょせん人間がでっちあげたものなんだよ。フランク・オッペンハイマーの言葉。
  • ハッブル宇宙望遠鏡が送り出すイメージは白黒でしかない。しかし天文学者はイメージを修正してカラフルなものにする。問題のある行為のように思えるかもしれないが、そもそもフィルターを通さない無処理のイメージなんてものは存在しない。聴覚や触覚、味覚、嗅覚いずれにせよ、処理されていない感覚なんてものは存在しない。
  • ビッグバンという言葉は、意地悪い当てこすりか辛辣な冗談のつもりで考えられた名前。誤りだと考えていたためだ。
  • 科学が何のやくに立つのかと聞かれて、物理学者が持ち出すのが次のような答え。「生まれたばかりの赤ん坊は、何の役に立つのだろうね?」 マイケル・ファラデーの言葉。
  • 初期の生命は酸素など呼吸していなかった。酸素は初期の有機体がはき出した毒素で、そのとき存在していた生命体の大部分を殺してしまった。
  • 空間の測定単位はメートルで、そのメートルは所定の時間に光が伝わる距離によって定義される。だから光の速度の測定は定義上どうどうめぐりということになる。
  • 初期の地球は、現在の地球よりもずっと速く回転していた。つい5億年ぐらいまで地球の一日はたった18時間程度しかなかった。
  • 単細胞生物は二つに分裂することで子孫を増やすことになるので、実際には死ぬことがなく、子孫の体内にいつまでも生き続ける。生き物が性的に生殖をはじめたとき、個体の死というものがはじまったのだ、つまり死は私たちがセックスのために支払う代償なのだ。リン・マーギュリスという生物学者の主張。
  • 著者全員をフォルクスワーゲンに詰め込むことができないような理論的論文は決して信用するなというフォルクスワーゲン原則というものがある。それ以上の著者がいるとするとその理論を一人で考え抜いた者は誰もいないという証拠になっているのだそうだ。
  • ホーキングによると、タイムトラベルと言うと研究費ももらえないので物理学者はそれを「閉じた時間的曲線」などというあいまいな術語に置き換えるという。
  • 芸術家と科学者は社会の公式「目付役」だという。他の人が気がつかなかったり無視するようになってしまった事項にちゃんと目をつけることを仕事にしているためだ。フランク・オッペンハイマーの言葉
  • 北半球の星座には、名付け親のギリシャ人にとって意味のある神々や獣、王宮などが多い。一方で南半球の星座は器具や幾何学的図形などはじめて世界を航海した者達のより近代的な関心を表している。
  • 科学者たちは昔から仲間内でもっとも優れているのは芸術的素養があるものだと言い続けてきた。一室に数学者が4人集まったら必ず弦楽四重奏団ができると古くから言われている。芸術と同じく、科学はものごとの細部と、より広い前後関係に注意を払うことを学ぶ必要がある。
  • 手で覚えた世界の知識は、実際に新しい技術を脳に教えるという。言い換えると手で触り探り操作する作業が脳神経の回路を新しく書き換えうるということになる。フランク・ウィルソンという神経学者の主張。「手の五〇〇万年史 -手と脳と言語はいかに結びついたか」(ASIN:4794806671)が面白そうである。