利己的な遺伝子

利己的な遺伝子 <増補新装版>

利己的な遺伝子 <増補新装版>

9章の「雄と雌の争い」が面白い。そもそも雄と雌はどのように区分されるのかという疑問がある。著者の考えでは、雄と雌の決定的な違いは生殖細胞の大きさだという。雄の生殖細胞(精子)は雌の生殖細胞(卵子)よりもかなり小さい。卵子には栄養分が含まれているのに対して、精子には含まれていないためだ。精子は父親の遺伝情報の伝達のみに特化している。この非対称性が雄と雌の行動に大きな影響を及ぼしている。

生殖細胞が全く同じでありながら、生殖活動を行う生物もある。カビの一種がこのような形態を取るらしい。そのため雄と雌を区別することができない。

どのように雄と雌は生殖活動を行うのか、雌は卵子を作る段階ですでに多くの投資を行っている。自分が消費しても良い栄養を卵子に分け与えているのだから。卵子の数も雄が作る精子と比較すると大幅に少ないのが普通だ。受精の段階で雄の貢献度は50%を大幅に下回っている。このように考えると、精子の存在感はかなり低いものに思えるし、雄の数は雌の数よりも少なくてもよいのではないかとも考えてしまう。しかし詳細な説明は省くが、雄と雌は50%ずつになるという。