「じゃりン子チエ」という生き方―チエの強さ、テツの弱さ、ヨシ江の恐さ


数時間程度で読めてしまった。これは面白い。この本で述べられている登場人物の性格の分析はほぼ納得できる。この分析を読んで著者のはるき悦巳氏はどのように感じたのか、気になる。著者本人もここまで詳細に分析されるとは思っていなかっただろう。
テツを地域社会の公認暴力装置、現代の武士にたとえているのも、文章を読んでいくとなるほどとうなずいてしまう。見境なく暴力をふるうのではなく、やくざに対しては徹底的に痛めつけても堅気の人に対しては手加減する。一種の警察官。放置しておくと暴走しかねない(自己をコントロールできない男なのだ)ので、ババアやチエ、花井といった監督者が監視して抑制しているのだ。軍隊を政治家がコントロール(シビリアン・コントロール)する状況にたとえている。面白いのは、暴力装置を抱えておくには低コストでなければならないのだが、テツという男は非常に安上がりな男(自腹でミルク金時を注文する時には根性がいると話しているほどだ)なので、社会で抱えていることが容認されている。

ビデオを見たくなったなあ。原作も読んでみたい。文庫本になっているみたいだ。ブックオフでまとめて売っているかもしれない。


「一人で生きてゆけるなんて思っていると、辛抱せなあかん時に、辛抱がきかんようになったりもするんよ。」ヨシ江の言葉。