![「投資バカ」につける薬 (講談社BIZ) 「投資バカ」につける薬 (講談社BIZ)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/5199JKW4Z3L._SL160_.jpg)
- 作者: 山崎元
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/04/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おおむね納得できるのだが疑問を感じるものある。それはインデックスファンドやETFではなく、3銘柄以上の個別株式への投資を推奨している点だ。確かに銘柄入れ替えでパッシブファンドは損をする(もしくは得られるべき利益を失う)可能性は大きい。しかしこれを問題視して個別銘柄への投資を推奨するのもどうかなと感じた。まずどの銘柄を購入すればよいのかを判断する必要がある。しかも適宜モニタリングして入れ替えを行う必要もある。両方とも調査する時間が必要だ。銘柄の調査自体が楽しければそれでも良いが、必ずしもそんな人ばかりでもないだろう。また銘柄選択の意思決定の際にその時の市場のムードから避けるのはかなり難しいと思う。そのときのムードに左右されやすいのではないか。結局、人気株を高値で購入してしまうという結果になる可能性が高い。適切な銘柄を選択できるという自信があればいいのだが、総じて投資家(プロとアマチュア両方とも)は自信過剰に陥りやすいものだと思う。
つまり、少しのコスト(指数の銘柄入れ替えに伴うもの)を気にして、大きなリスク(少ない銘柄に集中投資する)を取りにいってしまうのは不合理だということか。少し違うかもしれないが「安物買いの銭失い」ということわざを思い出してしまった。
もちろんETFやインデックスファンドを購入するという意思決定を下す際にも、市場のムードに左右されることは避けられないと思うが。安いところで買おうと思ってもうまくいくことは私の経験ではあまりない。自動的に毎月購入するようにしたほうがいいのかもしれない。
ベンチマークをTOPIXよりも多い銘柄数で構成されたベンチマークに連動するようなETFやインデックスファンドがあればいいのだが、何か適当なファンドはあるのだろうか。私が保有している米国株のファンドはMSCI US Broad Market Indexに連動したもの。大型株中心のTOPIXとは異なり、幅広い銘柄で構成されている。たしかWilshire 5000がベンチマークだったのにいつの間にか変更されていた。多分MSCIのほうがトラックしやすいのだろう。
ベンチマークを提供する会社(MSCIなど)では、いかにトラックしやすいベンチマークを提供するかが大きな競争力になるのではないか。頻繁に銘柄入れ替えを行うようなベンチマークは多分採用されないだろうし。だいぶ前のBarron'sにはMSCIのセールスポイントはトラックしやすさにあるとの記事が掲載されていた。
参考:
http://d.hatena.ne.jp/ichiyu/20060413/p2
http://d.hatena.ne.jp/ichiyu/20051204/p5
資産間の相関関係に基づいて資産配分を行う方法は、以前よりチャート分析とどこが違うのだろうと不思議に思っていた。相関関係も過去の価格変動から分析しているわけだから、チャート分析と同じように思えて仕方がない。過去の相関関係が将来も続くと考えるのはかなりの勇気が必要に思われる。たぶん、今までは資産ごとに投資家層が異なっていたのではないか、そして投資家層が分散されていたことが相関関係が低い資産の組み合わせが可能になった原因なのではないかと思っている。ただ様々な資産に同時に投資するようなファンドが市場で存在感を高めると、資産間の相関関係も低下してしまうのではないだろうか。
不動産は株や債券との相関関係が低いため、組み合わせることで分散効果が期待できるという論拠も成立しにくくなるのではないか。特に不動産がREITという形で証券化され、利回り商品として売買されるようになると、債券市場との相関も高くなってもおかしくない。10年以上前にBarton Biggs氏がそんなことを言っていたことを思い出した。
なんか本とは関係ない話題になってしまったな。