- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/12/27
- メディア: 単行本
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コンスタンティウス帝は自分の地位を奪われることを恐れたあまり、肉親を次々に殺害、最後には頼りになる人材に事欠く状態に陥ってしまう。自業自得というべきか。宦官を重宝し、ゆがめられた情報しか耳に入らなくなってしまった。オリエント的な皇帝である。
印象に残る文章。
「自分に自信をもつ人だけが、他者に対しても公正になれるのである。」(P56)
「世間には、半分誉め半分けなすことをモットーにしているのではないかと思う人がいる。この種の人は、この奇妙なバランスをとることで、責任を回避しているのだ。言い換えれば、勇気のない人である。」(P118)
キリスト教が普及した要因の一つとして税制があったというのが初耳だった。聖職者は免税だったので、重税に苦しむ人たちが聖職者の道に進んだというわけだ。そのため課税対象の市民が減少し、より狭くより厚く課税されることになった。これは帝政ローマ初期の「より広くより浅く」の反対であった。
アマゾンで買った本が積みあがっているが、ローマ人の物語を再び最初から読みたくなった。ハンニバル戦記かユリウス・カエサルあたり。「すべての道はローマに通ず」や「迷走の帝国」「終わりの始まり」は正直言ってあまり面白くない。「すべての道はローマに通ず」はなんかそれ以前の寄せ集めみたいな印象だし、「迷走の帝国」は登場人物が多すぎてローマ人の物語の特徴である人物描写が弱いような気がする。
「最後の努力」からは再び面白くなってきた。この調子で最後まで進むのか?