会社はこれからどうなるのか

ようやく読み終わる。音読だと疲れる。
ポスト産業資本主義の会社形態としてNPO法人に期待しているようだ。分業化が進展し高度に専門化していく現代社会においては、専門家である供給側と、素人である需要側では大きな知識ギャップが存在するので、契約関係では規定できない、信任関係(善管注意義務など)が必要になるという。信任関係が機能するためには、株主主権論(株主利益のみを追求する)的な会社では必ずしもうまくいかないと指摘している。医療サービスの営利法人が認められている米国でも、過半数の病院が非営利団体となっていることを述べている。
また、組織特殊的人的資産の蓄積を従業員に促すためには、株主によるホールドアップ問題を解決することができる日本型の株式会社も有効であると指摘している。ホールドアップ問題とは、長期的な報酬を期待して、会社の中でしか通用しない組織特殊的な人的資産の蓄積に努力してきたのに、その約束が反故になってしまうことを意味する。
かなり平易な文体であるものの、資本主義社会の中での奇形だと見られていた、日本の株式会社の仕組みの理論的背景と合理性を明確に説明してくれるところが面白い。一見奇妙に見える結論を論理で説得させていく、著者のスタイルが充分楽しめる一冊だと思う。

会社はこれからどうなるのか

会社はこれからどうなるのか