高いスキルを持つ移民を制限することは米国経済にとってはマイナスになる

Economics focus : Give me your scientists… (The Economist)
オバマ政権の景気刺激策に盛り込まれた「バイ・アメリカン」条項は注目を集めたものの、同程度の重要性を持つGrassley-Sanders修正はそれほど注目されていない。この修正条項では、政府の救済を受けた企業は、H-1Bビザの移民を雇用する際に制限が加えられることが定められている。失業率が高まる中、移民に高スキルが求められる職を奪われる可能性が低くなったと喜ぶ声もあるが、逆に米国経済のイノベーションを阻害する可能性が大きい。すでに米国の大学や研究所では移民が大きな比率を占めている。米国経済の回復にはイノベーションが欠かせないが、イノベーションは移民に多く依存しているといっても良い。移民が米国人の職を奪うのではなく、米国人のイノベーションも高められるとの研究結果もある。多くの優秀な人材が混じりあうことでアイデアが成長するためとも考えられる。移民の母国にとっては、米国に行ってしまった人材は頭脳流出とも言えるが、米国での活躍する移民は母国での研究成果にも好ましい影響を与えていることも判明している。