ブログで注目を集める経済学の異端たち
Heterodox economics: Marginal revolutionaries | The Economist
briefingにしては長い記事。ブログという新しいメディアで注目を集めるようになったマクロ経済学の異端たちを主に3つ紹介しているのだけど、一度読んでみて頭が混乱してきたので、3つの理論をチャートにして整理しつつ再読した。
以下のような感じ。それぞれ、金融危機後の景気後退局面をどのように打破すべきか、金融・財政両面における政策の選択肢を提案している。
- market monetarist
財政政策の有効性には否定的。よって、財政出動を行わずに、中央銀行による金融政策に重点を置いている。特にインフレを目標にした従来の金融政策ではなく、一定の名目GDP(NGDP)成長率を目標に金融政策を行うべきと主張している。従来の手段に加えて、更に大胆な量的緩和(QE)やマイナス金利(準備預金にマイナス金利を与え、銀行預金の魅力をさらに低下させる)などの政策手段も用いる。この考えはFOMCでも討議されるほど広く浸透した。
- neo-chartalism(Modern Monetary Theory)
財政政策を強調。政治から距離を置いた役人が運営する中央銀行による金融政策を、そのまま財政政策に置き換えたようなものを想定する。民間需要が乏しければ積極的な財政発動を行い、反対に民間需要で十分であるときには財政政策は引き締めにする。事実上、政府は通貨を自由に発行できるのだから、債務不履行を恐れずにどんどん財政赤字を積み上げていけばよいという考え。
- austrian school(オーストリア学派?)
金融・財政政策両面において否定的。景気過熱の結果としての不況はやむを得ないものと見る。金融政策や財政政策は市場メカニズムをゆがめ、不況を克服するどころか、逆に悪化させてしまうと主張。金融面では金本位制度を主張。米国のtea partyに通じるところが多い。