企業とは何か

企業とは何か

企業とは何か

読了。読み始めた頃には、もっと企業経営を中心にした本かと思ったが、そうではなかった。「産業人の未来」の続編というか、各論のような印象だ。GMの経営陣から招聘されてGMを題材に調査研究を行った結果がこの本らしいが、そのような経緯があるにしては驚くほどGMに対する言及は少ないような気もする。
この本を読むと「企業は社会の公器」であるという言葉が美辞麗句ではなく当然のこととして素直に受け入れることができる。企業のために社会があるのではなく、社会を発展させるための道具が企業となる。社会に占める存在感が大きくなった企業を、どのようにマネジメントするかが、機能する社会を生み出せるかどうかに大きな影響を与えることになる。
失業は、失業保険という形で、金を失業者に渡すだけでは解決しないという。失業は社会における地位や役割を持たないことを意味する。失業者の自己実現の場が損なわれていることにもなる。解決にはやはり仕事を提供するしかない。完全雇用を実現できるかどうかが、自由企業体制の将来を大きく左右する。




昨日借りてきた「図で読み解く!ドラッカー理論」(ASIN:4761261935)はいまいちな感じ。図解自体があまり面白くないし、ドラッカーの著書をそのまま読む方が理解できそうな気がする。ドラッカーの魅力の一つは独自の文体(翻訳者の上田惇生の文体かもしれないが)だと思っているので、図解では当然抜け落ちてしまう。