新春エッセー

http://www.nhk.or.jp/winter/gtv/gtv_69.html
水曜日に放映されていたものを録画しておいた。塩野七生五木寛之の対談である。対談というよりも五木寛之塩野七生にインタビューしているような印象が強い番組だった。塩野七生五木寛之の発言に対してビシビシ異議を唱えているのが面白い。ローマ人の物語を読んでいても分かるが自己主張が激しいのだ。五木寛之といえば、以前読んだ「養生の実技」(ASIN:4047041637)で、年に2回しか髪を洗わないと書いていたことを思い出す。テレビで見る限りではそんなに汚い髪には見えないのだが。。

塩野七生の発言は、ローマ人の物語を読んでいれば特に違和感のない内容であった。その中で記憶に残っているのが、現代日本の病理とも言える問題に関する発言であった。自殺やいじめなどは、平和の代償と考えるべきだという。また現在は、近代(つまり欧米の価値観)への疑いが浮上している時代だと指摘し、これは支配的な価値観が崩壊した中世のような状況につながるとも話していた。

五木寛之はBSで仏教関連の番組を始めるみたいだが、チューナーを持っていないので見ることはできない。残念。ブータンの話題も出ている。この前のCBSドキュメント(http://d.hatena.ne.jp/ichiyu/20070102/p1)にも関連している。五木寛之は仏教を通じて国民の幸せを追求するブータンに大きな可能性を見いだしているようだが、塩野七生は冷ややかな印象。生活水準が低く小国だからできることであって、今の日本では同じことをするのは無理と見る。国家の役割を限定して成功したのがローマ帝国だとすると、国民の幸せを国家が追求することはローマ的ではないと思う。

そういえば、この二人は対談集も出していた。「おとな二人の午後―異邦人対談」(ASIN:4418005099)という本で、購入した記憶はあるのだが、本棚を探しても見つからないところをみると古本屋に売ってしまったのかしれない。もう一度読みたくなったなあ。