なぜ資本主義は暴走するのか―「株主価値」の恐るべき罠

なぜ資本主義は暴走するのか―「株主価値」の恐るべき罠

なぜ資本主義は暴走するのか―「株主価値」の恐るべき罠

読了。最後のほうは暴走した結果、引き起こした惨劇をどのように後始末したかという点について述べている。ここでの主人公となるのがニューヨーク州司法長官のスピッツァー氏だ。某日系証券会社のレポートでは彼のことを「ニューヨークの遠山の金さん」と称していた。大衆の怒りを背景に金融界に潜む巨悪をあぶり出したことがそのように見えたのだろう。話はそれるが、遠山の金さんは三権分立の原則が成り立っている現在では考えられない人物だ。現代でたとえると東京地検特捜部検事と判事が一体化したような存在だろう。
全体としてよくまとまっており読みやすい本だと思う。株主価値の名の下に経営陣が暴走するのをどのように防ぐのかという点においては、厳しい企業監査だけではなく、株主の理性ある投資行動もかなり重視されるようだ。米国の混乱を目の当たりにしている以上、日本でも同じような状況にはならないのではないかと感じた。CEOと平社員の所得が数百倍異なるという米国企業のやり方は、日本社会では許容されないのではないか。
同じ日に購入した「投資家よ騙されるな! ウォール街 欺瞞の血筋」と内容がかなり重複してるのではないかと思う。こっちのほうはしばらく後に読むことにしよう。
投資家よ騙されるな! ウォール街 欺瞞の血筋

投資家よ騙されるな! ウォール街 欺瞞の血筋